Column コラム

【PR解体"信書" to ワタナベ】
Vol.3(後編)「『+n』の発想」

2010.06.21

前回の PR解体"信書"Vol.3<(前編)「伝える」から「動かす」への続きです。
予告通り、オランダ戦後ということで...。


「ワタナベ、土曜日サッカー観たか?惜しかったな。」
「世界との差を感じましたね。」
「それにしても、エスコートキッズ(入場時に選手と手をつないで出てくる子供たち)も日本の子どもたちが全然映ってなかったぞ。不公平やぞ国際映像!!」
「(国際映像に怒っている人はじめて見た)」
「よーし、ワタナベ、山田ジャパンの一員としてお前は走り続けろ!!」
「(どこに向かって?)」


今日は、前回の続きで「+n」の発想について話をするぞ。

前回も話した通り、コミュニケーションのゴールイメージを「伝える」から「動かす」へと発想の転換を図る。
次に、じゃあ、そのためにどんな方法で、相手を振り返らせて、気持ちを動かし、行動を引き出すかを考える。
その戦略を考えるときに、従来の広告枠内のコミュニケーション戦略と、PRを含めた広告枠外まで活用するコミュニケーション戦略では何が違うのか。
これが今回のポイントな。

ではワタナベさん どこが違うと思いますか?

「広告は言いたいことを確実に言えますが、枠外のPRはコントロールができません。」
「広告は媒体費がかかりますが、枠外は媒体費がかからないので費用対効果が高いです。」

...なるほど。
いいかワタナベ、最大の違いはコミュニケーションの主体者にある。

つまり、企業やブランドが自分主体で、自分主語で話すのが広告モデル。
これに対してPRの場合は、私だけではない第3者(私ではない誰か)を巻き込む「+n」のコミュニケーションを目指す。
広告モデルが「私=I」の発想だとすれば、PRモデルは「私たち=We」の発想になる。

この発想の違いは、広告制作とPRの情報制作という実施過程にも如実に表れてくる。

ワタナベ、このPR解体"信書"の最初に話した"PRの木"の話、憶えているか?
あのときに、PRの根幹(コンカン)について話した。
PRの根っこは「社会との関係」、そして幹は「様々なステークホルダーとの関係づくり」だと。

PRの実践は、対メディアへの働きかけだけじゃない。
初期の調査段階から最終的な取材対応まで、人との折衝交渉を中心にした「対人のフィールドワーク」や。
人の話を聞くこと/人の考えを解釈すること/人と人をつなぐこと...「+n」というのは、発想と同時に、PRの実践そのものでもある。

広告の場合(これはあくまでも僕の想像だけど)、プランを練った後はロケ地やスタジオで撮影して、編集して、作品を仕上げていく。
最後は「表現」に収れんされていく"スタジオワーク"って気がする。

一方でPRは人と人との関係をつくっていく"フィールドワーク"で、その中に対マスコミのリレーション活動に含まれると考えて欲しい。


まずゴールの照準を「ターゲットの気持ち動かし、行動を引き出すこと」にあわせる。
方法や手法にこだわらず、どんな状況や局面をつくったらゴールに近づけるのかを想像する。
思い浮かべることに集中する。
その実現のために、まず会いに行くべき人物は誰なのか。
意見を聞くべき相手が想定されるはずだ。
後は、手順と礼儀をわきまえて、躊躇せずにフィールドに飛び出していけばいい。

20100621