キユーピー株式会社様

バリューチェーンを一気通貫で市場創造する
新規事業への挑戦

Outline

概要

健康に良いとされる「お酢」。食卓に欠かせない調味料のひとつです。

お酢はお酒が「酢酸菌」によって発酵することでつくられますが、実は、現代の食酢の多くは、商品の見た目をクリアに美しくするためにフィルタリング(濾過)して販売されています。しかし、濾過することによって捨てられてしまっていた「酢酸菌」に近年、さまざまな健康効果が確認されはじめました。

キユーピー株式会社(以下、「キユーピー」)の代表商品の1つである「マヨネーズ」の原料にも食酢が欠かせません。そのため、「酢酸菌」の研究・開発は国内トップレベル。この「酢酸菌」を機能性関与成分とした、新商品のサプリメント(機能性表示食品)について、機能性素材が市場に飽和する中で、生活者に「買いたい」と思ってもらうための市場創造を目指したいとご相談いただきました。

Process

戦略/実行

全体戦略の設計

我々が着目したのは、生活者の生活環境。
発酵食品は日本の食文化であるため、マーケティング環境としてはレッドオーシャンです。市場には健康作用を謳う競合菌が多数存在することから、酢酸菌の機能性で勝負をすることは、生活者視点では差が分かりづらく、市場に埋もれてしまうと考えました。

そこで、まず着手したのが「生活者の“買いたい”を生み出すストーリー開発」。
情報環境を分析・企画しながら、実際に生活者に対して仮説ストーリーを呈示。約3ヶ月で、購買に至るまでのプロセスや訴求が必要な文脈を仮説検証しながら明らかにしました。さらに、全体文脈を構造化し、広告とPRの各領域で強みが発揮される取り組むべき領域を明確化。複数社が関与するプロジェクトの全体戦略を設計しました。

コミュニケーションアプローチ

インテグレートは、PR領域を中心としたコミュニケーション戦略立案と実行を担当。
市場環境と生活者インサイトを捉え、あえて、機能性表示食品のエビデンスを起点にしない競合菌とは異なるアプローチに挑戦しました。

江戸時代頃は濾過技術がなかったため、粗濾過製法による「にごり酢」が主流だったと考えられています。
そこで、日本各地で食文化や酢の歴史を支える醸造所と連携し、「にごり酢」を起点とした酢酸菌の啓発活動を展開。酢酸菌が含まれる「にごり酢」という歴史的な食材を起点にした情報開発・発信を展開。酢酸菌が社会に浸透しつつある実態を世の中に顕在化させました。

その結果、同時期に多数のテレビ番組が「酢酸菌」特集を放映。WEBメディア/新聞/雑誌など幅広いメディアにご紹介いただきました。
各種メディアでの紹介では、必ず酢酸菌の機能性にも言及。これらの成果から、各醸造所も含め「酢酸菌」を謳う商品カテゴリー群の全体売上が向上しました。さらに、この市場環境が発展した2023年現在では、にごり酢などの「酢酸菌」を含む商品販売数も増加。酢酸菌市場の勢いはさらに盛り上がりを見せそうです。