超PR思考ノートの最近のブログ記事

今日の朝日新聞の一面は、巨人の新人選手獲得に絡む破格の契約金を暴露する、スクープ記事でした。

僕自身を含め、周辺の「アンチ巨人」の間では、ツイッターでもフェイスブックでも"やっぱり巨人はダメね"という声が盛んでした。
僕は子供の頃からアンチ巨人で、読売新聞を一回も定期購読したことはないです。
甲子園でも、東京ドームでも、かなり巨人選手にヤジも飛ばしてきました。

でも、今回の記事には、かなりの違和感を持ちました。
ツイッターでも、この記事を1面トップにもってきた判断はいかがなものかという声がありました。
私も同感です。

少し話は横道にそれますが、僕は長男(中学1年)、次男(小学4年)が地域の少年野球チームにお世話になっている関係で、ここ5年ほど"少年野球"のお手伝い(コーチや監督)をしてます。
そう、豊ベアーズです。
まさに、『がんばれベアーズ』のようなチームで、今年は9人ギリギリでやってます(^^ゞ
我がベアーズだけの問題ではなく、東京では、サッカーや他のスポーツに押されて、子供たちの野球離れはどんどん進んでいます。
少年野球をやる子供の数も、チームの数の減少に歯止めがかからないというのが、現場の実感です。

僕のような、かつての野球小僧はいまも、これからもプロ野球を応援するでしょう。
でも、若者たちや子供たちはどうでしょうか。
こんな状況を見ると、ますます野球離れが進行してくのではないでしょうか。

もちろん、巨人の行為が正当だというつもりは毛頭ありません。
但し、これまで、西村欣也さん(朝日新聞社編集委員)の記事は、いつも、巨人の所業へ(あの「渡辺VS清武の醜聞」についても)、ファン不在だと苦言を呈してきましたよね。
僕もその通りだと納得していました。
でも、今回のスクープはどうでしょうか。
プロ野球ファンのこと考えて、この記事は書かれているのでしょうか。
読売を叩きたい熱意しか伝わってこないのは僕だけでしょうか。
阿部って、巨人の4番ですよ。日本を代表する捕手です。
内海も球界を代表する左腕です。
僕は個人的に好きではないですよ、もちろん。
但し、阿部にあこがれている子供も、内海を目指している子供たちもいますよ。
巨人を応援する野球少年たちにとっては、間違いなくスターですよ。


今後、巨人以外の他球団は基準額を遵守してきたのかを調査すべきだし、
なにより特定の選手名や金額を出さずとも、問題提起を行うことはできたのではないでしょうか。

今日をもってワタナベが1年間の修行期間を終えることになるなあ。1年間やってみてどうだった。

「私はテレビが大好きで、マスコミを通じてプロモーションというか、何か仕掛けを考えるそういう仕事をしたくて、広告とかPRを目指してインテグレートに入社しました。」

そうだったな。実際に1年PRの仕事やってみてどうだった。

「正直、仕事を覚えるので精一杯でした。担当する案件毎に、経験することがたくさんあって、いい意味で、いろんな場面や仕事を見せてもらったと思っています。」

よかったことは?

「とにかくいろんな人と関われたこと、これに尽きます!クライアントやメディアを始め、オピニオンの先生や取材先の店舗など、様々な業界の方と一緒にお仕事をしました。」
「商品がメディアを通して生活者のもとに届くまで、こんなに沢山の人達が関わっているんだ...」これを実感できたのはPRマンの特権だと思ってます。いろんな人の立場や考えを理解するトレーニングにもなったので、人間としても大きく成長できました。」

きつかったことは?

「生活者目線を忘れてしまいがちなことです。どうしたら生活者に面白い、買ってみようと思ってもらえるか日々考えているけど、クライアントを前にすると、商品を出すこと・露出を決めることが先行してしまい、生活者の立場に立てなくなることがあります。クライアント、メディア、生活者、みんなに利益が生まれるような仕掛けを作るには、まだまだ経験不足な部分があり、悔しいです。」

「もうひとつは、まだまだPRが下に見られてることです。おせっかい屋、ただのパシリ、あんた達は何者なんだ。こんなことを言われ続け、自分でもPRマンって結局何なの?と思う場面が沢山ありました。正直今もその疑問は完全には晴れていません。でも、実際にメディアを通じて商品が売れたりするのを見ると、クライアント・メディア・生活者をつなぐためにやっぱり必要な存在なんだと思います。PRがもっと日本に浸透し、必要とされる職種になればいいと思ってます。」

PRに限らず、いま、どんなこと感じている?

「私は元々、テレビが好きで、すごいテレビっ子だったんです。でも、この1年仕事でも、仕事以外でも、マスコミの不調というか停滞というか。一方で、ソーシャル・メディアがすごく話題になっていて、対照的ですよね。実際に、業務でテレビの取材現場に触れて、やっぱり、首をかしげるところも多々ありました。でも今回の震災を通して、改めてテレビの偉大さ、ソーシャルとの連携による相乗効果を実感しました。両メディアをうまく使いこなせれば、まだまだ生活者に伝わる可能性の幅は広がるなと感じました。」

ワタナベへ
正直な意見ありがとう。
まず「PRマンって結局何なの?」「PRは下に見られてる」という話について。
「僕もそういう時があった」「最初はそんなもんだ」とは僕は言わない。もちろん、どんな仕事にでも、下積みや下働きはある、その点では、1年生なんだから苦労もする。
ただ、ワタナベが感じたPRの問題は、たぶんそれとは違うと、僕は思っている。
この解体信書の最初の回、「PRの木」の話を憶えているか?

ワタナベ、いま毎日、リスト整備して、リリース書いて、テレビ局、新聞社に情報持ち込んでいるだろ。
「何よこの単純作業」「アポ取りの電話がつらいなあ」とか思ってないか。これからはクライアントにも叱られるし、メディアにもどやされたりもするぞ。でもな、そのうち、幹がしっかりしてきて、根っこが張れるようになるからね。5年目の先輩を見てみろ、幹の仕事にチャレンジしてるはずだよ、10年目先輩と話をしてごらん、幹から根っこの話をしてくれるはずだから。
ワタナベ、大事なことは、大きな木の中で、目の前の自分の仕事にしっかり取り組むことだよ。(「PRの木」の話)
もう一昨年になるだろうか米国のソーシャル・メディアの専門家が来日した時にセミナーで「広告の人はメディアを買う」「PRの人はメディアを拝む」と言って笑ってたが、実際、笑えない話だと僕は思った。メディアにお伺いを立てる。メディアを崇めるのが僕らの仕事ではない。少なくともインテグレートの仕事ではない。
PRは手法使うものであって、使われてはいけない。
ワタナベ、根っこと幹をしっかりつくれ!

一方でマスメディアの不調、ソーシャル・メディアが話題という話について。
ワタナベもわかっている通り、僕個人は紋切り型のマスメディア批判をするつもりはない。
一冊本を紹介するよ。最近読んだメディア論の中では、かなり刺激になった「街場のメディア論」(内田樹 光文社信書)という本。テレビを中心にいまの日本のメディアをぼろかすに書いている。但し、本質を鋭く突いていると僕は思った。その中で、いまのメディアの不調について、こんな行(くだり)がある...

「メディアが急速に力を失っている理由は、決して巷間伝えられているように、インターネットにとって代わられたからだけではないと僕は思います。そうではなくて、固有名と、血の通った身体を持った個人の『どうしても言いたいこと』ではなく、『誰でもいいそうなこと』だけを選択的に語っているうちに、そのようなものなら存在しなくたって誰も困らないという平明な事実に人々が気づいてしまった。そういうことではないかと思うのです。」
『誰でも言いそうなこと』と『自分しか言わないこと』、これは僕らの仕事にも通じる大事な話だと思う。僕はテレビは滅びないと思っている、ワタナベの言うとおり今回の地震のような状況下でNHK(他民放も)の果たした役割は、代替えがあるとは思えない。それほど重要な機能だと思っている。
これからのメディア間の連鎖や連携の可能性についてはまたゆっくり話そう。

昨夜は雪のバレンタインデー。19時から六本木ヒルズで開催された「広報担当者のためのソーシャルメディア実践講座(第1回)」に行ってきました!
パネラーの皆さんのお話への期待と、何よりも、日本PR協会が"ソーシャルメディアの講座"を開くということに興味があったので参加しました。会場は満員札止めの150名超で盛況でした。
協会の皆さん準備から運営までお疲れさまでした。セミナー終了後は、まるで"雪国"でしたが、パネリストの皆さんも、聴講者の方々も無事帰れましたでしょうか。

さて、メールで協会から送られてきたアンケートに「満足」「不満足」とチェックするだけでは味気ないので、少し感想を書きます。
まず参加した当社のスタッフとも話をしましたが、キャリアの若いスタッフは、勉強になった、刺激になったと喜んでおりました。経験を積んだスタッフは、ちょっと物足りない感じのようでした。まあ、協会としては、比較的ビギナーの目線にあわされていたのでしょう...。
キャリアに関係なく、皆さんに共通するポイントとして、2つの前提の整理が必要かなと感じました。
まず、昨夜のセミナーは基本、自社発信の、企業アカウント的目線でのお話でした。比較的キャリアの若い広報担当者やPRパーソンにとっては、自社発信のソーシャルメディアがいわゆるトリプルメディアの中で、どう位置付けられるのかという整理が欲しかったのではないでしょうか。パネラーの神原さんが冒頭で「今回は企業の広報担当者向けですので」と前置きされましたが、全体像の中での位置関係が補足されれば、さらに良かったのではと思います。うちの新人ワタナベいわく「そうか。キャンペーンに使ったらダメなんでしょうか」「基本は中長期的な企業広報向けということなのでしょうか」と唸っておりました。原則論ではなく、現実的にツイッターやフェイスブックをマーケティングの中でどう使いうかというテーマは広報目線とは別に、成立するということを知らせてあげた方がいいかなと思いました。ワタナベには説明済みです。
パネラーのお一人、前の日経ビジネスオンライン 編集井上さんから「話題づくり」「マスに取り上げられるためのソーシャルへの取り組み」なんて発言があって、ツイッター上でも「話題づくりのためのソーシャルなんて(とんでもない)!?」とややヒンシュクを買っていたようにも見えましたが、要するに「目的」「目線」の違いがあったと思いますね。もちろん、企業広報としての作法やルールの話は大前提ですし、フローではなくストックを重視するという考え方に異論はないのですが...。

あともう1つ、「反響」や「成果」についても、1000人なのか、1万人なのか、100万人なのか、1日の反応なのか、半年の結果なのか、3年の蓄積なのか。パネラーの方々のイメージされる「反響」「成果」のイメージ、規模の違いもあったように思います。ここも前提の整理が必要なポイントだったと思います。
ツイッターにしろ、フェイスブックにしろ、どうやって、何に気をつけて、どうやって着手すべきかに悩んでいる広報パーソンにとって、今後もこの講座が有効な一助になることを祈っております! ツイッターで「#prsj」を検索いただけば、今回のセミナーの断片はご理解いただけると思います。お時間のある方、興味のある方はぜひ。

これ、昨夜のなごりの雪でつくった雪だるま(インテグレートにて)

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『接点』と『接客』~福山にて~
昨年あたりから、『トリプルメディア』というコトバをとにかくよく聞きます。
僕のブログを読んでいただいている方には釈迦に説法かもしれませんが、とは言え簡単に説明しておくと、
メディアの区分では「4マス(新聞、テレビ、雑誌、ラジオ)」というのが代表的だったわけですが、ネットが隆盛の現在、メディアを以下の3つに区分して考えましょうというのが『トリプルメディア』の考え方ですね。

1)"ペイドメディア"
企業が広告スペースやタイムを買うメディア
2)"オウンドメディア(所有するメディア)"
自社サイトやブランドサイトなど企業が直接所有するメディア
3)"アーンドメディア(得るメディア)"
SNSやブログ、Twitterなど、信用や評判を得るのこと。
※僕らはネットに限らず、メディア主体の記事や番組もこの3つ目に分類しています。

以前もブログで触れましたが、広告業界的には、新しい潮流を表すこういう業界用語が"流行語"として、もてはやされることがよくあります。でも、流行に左右されないマーケティングの鉄則について考えてみたいと思います。
『PR解体信書』「福山にて『接点』と『接客』を考える」です。今回はワタナベは登場しません(^^ゞ

先日、生まれてはじめて、広島県の福山市に行ってきました。
福山市はじめ、中国、関西地方にお店を展開されているコスメ専門チェーンの社長さんにインタビューするための出張でした。(もちろん、日帰りです)
しっかりと商売をされているマーチャンダイザーのお話を聞くと、いつも痛感させられることは、
"商売は人のココロをいかに丁寧に扱うかにかかっている"と言うことです。
まさに『接客』そのものですね。お客様のココロはもちろんですが、販売員(従業員)のココロも非常に大切です。翻って、私たちの業界では「コンタクトポイント」「タッチポイト」という言葉を使います。
顧客との接点、具体的には広告メディアへの接触をあらわしますが、そこに『接客』の視点は含まれているでしょうか。答えは否ではないでしょうか。人心を見つめて、人心を集めて、人心を魅了する、それを実践されている社長さんのお話を聞きながら自戒の思いを強くしました。
マーケティングを考える上では、ネットでも、リアルでも、『接客』という概念を私たちはしっかりと持つ必要があると思うわけです。
そこで、超PR思考から、『トリプルメディア』ならぬ、3つの接客の局面(phase)を提案したいと思います。
1)初期購入にいたるまでの局面(エントリー )
2)2回目の来店、購入という再現の局面(リエントリー)
3)継続購入につながる再々来店、購入 (リピート)
もちろん、言葉を流行らせたいわけではありません。

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ちなみに写真は福山にて、ささやかな楽しみで食べたラーメン「満麺亭」。
ここの大将の接客もよかったです。
福山で食べたラーメン(満麺亭)はおいしかったです。

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や:ワタナベ、「いま、食べたいものは何?」
わ:えっ?なんですか唐突に。
や:余計なことは考えるな。とにかく、いま何が食べたい?
わ:ご馳走してくれるんですか?
や:いいから早く!答えて!
わ:えっ、えっ、えっ、どうしよ。おでん!!
や:おでん。どんな?
わ:セブンイレブンのおでん。
  しまった!もっと高いものにすればよかった。ぐやしい~!
や:落ち着けワタナベ。これは、今日のテーマに関わる話だ。
わ:ほぇ?
や:ほぇって...。
  さっき「いま食べたいものは?」って聞かれて「おでん」と答えたよな。
  なぜ、「おでん」が思い浮かんだ?
わ:なぜって言われても...、今朝、会社に来るとき、結構寒かったんですよ。
  こんな日は「おでんの気分だなあ~」って先輩と話していたんです。
  そしたら、いきなり「何食べたい?」って質問されて思わず...。
や:「おでん」と。
わ:はい。
や:おでんは「言葉」が浮かんだ感じ?それともおでんの「画像」が浮かんできた?
わ:セブンイレブンのおでんの「画像」が思い浮かびました。
や:それが今日のテーマだ。
  「PR解体信書/発想編」、今日は「画像(エ)と文字(モジ)で考える」だ。


以前、感性工学の専門家から人間はすべての物事を「画像」で憶えているという話を聞いたことがある。
つまり、僕らは物事を「言葉」で記憶しているわけではないんだと。
例えば、「ビートたけし」という人物について考えてみよう。
僕らは「ビートだけし」をコトバ、文字情報で記憶しているのではなく、まず「ビートたけし」という画像を憶えている。
だから、「ビートたけし」と聞くと、最初に思い浮かぶのは画像なんだ。
その画像に、世界的な映画監督だとか、ビートきよしと漫才コンビを組んでいただとか、東国原知事の師匠だとか、いろんな情報が紐付けてくる。
画像を思い出せば、その後から文字情報は引き出されるというわけだ。
松岡正剛さんに言わせれば、情報の「地」(groundいわば、情報の背景)と情報の「図」(figureいわば、情報の絵柄)だ。
地続きの背景情報はあまりにも膨大なので、普段は記憶の中でも水面下に沈んでいる。
人間が意識しているのは絵柄の方だ。

さっきの「おでん」で言えば、何が食べたいという質問に、答えるときには、まずは画が浮かんできて、そして「あったかくておいしい記憶」が追いかけて来て、ワタナベは思わず「おでんが食べたい!」と叫んだわけだ。
一方で、「なぜ、おでんなの?」と理由が聞かれると、実は今日は気温が低く、肌寒い。こういう日には、暖かいものがうれしい。そう言えば、今年まだおでん食べてなかったなあ。
これらすべて「文字」で、論理的に因果関係を整理していく作業になる。
この画で捉える、文字で整理する感覚を掴んで欲しい。


では、いよいよ本題だ。
この思考法をPRにどう活用するか。
大切なのは「ゴール・イメージ」の捉え方だ。
「ゴール・イメージ」って、よく言うけど、果たして何をイメージできているだろうか。
「今回の企画のゴール・イメージは何だ?」と聞かれて、企画書の中にある「目標」「目的」を読み上げる奴がいる。
僕に言わせれば、そんなのイメージでも何でもない。
「ゴール・イメージ」はまるでテレビや映画でも見るように「画像」で状況や場面が見えてないと駄目だ。

しかも、PRマンに留意してもらいたいのは、ゴール・イメージは、決して露出イメージじゃないということ。
PRマンはゴールと言うと、すぐに「紙面」や「番組(画面)」をイメージしてしまう。
それは初級編~中級編としては大事だよ。
但し、僕らが本当に想像しなきゃいけないのは、その先の消費者の動きや店頭の様子だ。
消費者がどんな風に受け止めて、どのくらい反響が起こっているのか。
その姿をいかにイメージできるか、過去の経験から呼び起こすかが勝負なんだ。

反面、そのゴールに向かうための条件は、「文字」で整理しながら組み上げていく。
それは、広大な情報の原っぱを辿りながら、成功への道筋を確かめていく。

ワタナベ、「画」と「文字」両方で考えられるようになってくれ。

や:ワタナベ、物事の見方、捉え方は人それぞれ違うよな。
わ:はい。
や:ワタナベ、俺と同じ花を見て美しいと言えるか。
わ:はあ?
や:あのとき、同じ花を見て美しいと言った二人の
わ:...
や:ココロとココロが~♪
わ:...
や:♪いまは、もう通わない♪♪
  ♪あの素晴らしい愛をもう一度~♪♪
  ♪あの素晴らしい愛をもう一度~♪♪
  ♪あの...
わ:あの、もういいです!!
や:...さあ、始めよっか。PR解体信書。
  発想法編の2回目となる今日のテーマは、PRのアングル「世の中事(ヨノナカゴト)」「私事(ワタクシゴト)」。
  ワタナベ、しっかりついてきなさい!
わ:はい!


や:ワタナベ、さっきも言いかけたけど、モノの見方、捉え方というのは、人それぞれに違うよな。
  同じ人間でも、その時々によって変化する。
  これを一言で言うと「アングル」。
  そう、カメラなんかでよく使うコトバだけど、「角度」「観点」という意味だ。
  同じ物事でも、前から見るのと、横から見るのと、上から見るのと...角度を変えると違った風景に見える。
  ワタナベ、鳥瞰(ちょうかん)とか、俯瞰(ふかん)って聞いたことがあるだろ。
わ:はい。鳥瞰(ちょうかん)、鳥のように空の上から眺めるっていう意味かと。
や:その通り。
  地面を這う虫の目線、つまり虫瞰(ちゅうかん)なんて言葉もある。
  これは「観点」の違いだ。
  マーケティングで調査や情報収集に大事なのは、この「観点」だ。
  「観点」が間違っていたら、いくら時間をかけて調べても、的外れな結果しか見えてこない。
  まず、このモノの捉え方「アングル(観点)」の感覚を掴んで欲しい。
わ:わかりました!!
や:よし。
  では、PRを考える上で大事なアングル、「世の中事(ヨノナカゴト)」「私事(ワタクシゴト)」に話を進めよう。


マーケティング・コミュニケーションでは、ターゲットの態度変容を生みだす、大事なココロの動きを「自分事化(ジブンゴトカ)」なんて言う。
つまり、他人事ではなく、自分に関係のある話じゃないと、人は興味関心を示さない。
自分に関係ないと思えば「私には関係ないわ」と聞く耳をもってくれない。
(ワタナベ、このあたりを詳しく書いているのが「自分ごと人は動く/ダイヤモンド社」だ、チェックしとけ)

さらに、PRで重視するのが、パブリックつまり、皆さんに関わる大事ですよという「世の中事(ヨノナカゴト)」と、一個人の大事である「私事(ワタクシゴト)」のアングルだ。
つまり、
【消費者のインサイトを考える上で大事なアングルが】
「他人事」⇔「自分事」だとすると、
 【ソーシャルインサイトを考えで大事なアングルが】
「世 事」⇔「私 事」だ。

この話をすると、「なるほど『世の中事』、つまりパブリックな問題でないとPRはできないということですね」、と言う人がいるけど、PRはそれほど単純じゃない。
例えば、広末涼子がキャンドル・アーティストと入籍したことは、広末涼子の「私事(ワタクシゴト)」の極みだけど、メディアは大きく取り上げる。
それはなぜか。
彼女の存在が「世の中事」だからだ。
公人に限らず、存在が「世の中事」の人の行動は報道される可能性が高い。 

さらに、品川区在住の山田さんの悩み。
有名人で公人でもない、普通のおっさんの「私事」。
それでもメディアが取り上げることがある。
それはなぜか。
山田さんが抱える悩みと同じような悩みをもっているおっさんが世の中にはたくさんいるとメディアが判断したからだ。
つまり「世の中事」を記事にするための具体的な事例として山田さんの話が使えると判断したということになる。
読者が共感してくれる話ならメディアは「私事」でも取り上げるわけだ。

「PR発想」として、身につけて欲しいのは、この2つのアングル「世事」と「私事」の行ったり、来たりを使い分けることだ。

それをどうやって身につけるかって?

いいかい。
まず「世の中事」については、いま、ワタナベが取り組んでくれていると思うけど、新聞記者、雑誌編集者、テレビの記者や制作者など、マスコミの「観点」を把握すること。
そのためには、記事、番組を研究しながら、彼らの意見に耳を傾けることが大事だね。
さらに、世論調査や学術情報、企業情報を含めて、メディアの観点を計算しながら、その情報を評価することも重要だ。
これが「世の中事」のアングルを身につけるためのプロセスだと思う。

一方で「私事」の方は、何よりもターゲットへのインタビューの経験を積むこと。
最初はインタビューに同席したり、立ち合うところからはじめる。
消費者のニーズや購買の動機付けについて、耳を傾ける機会は貴重だよ。
それと仕事の場面に限らず、家族や友達、もっと言えば、ワタナベ自身も消費者でもあるわけだから、いつも「自分がもし一人の消費者なら...」というアングルを忘れないことだ。
買い物に行ったとき、食事に行ったときに、映画を観に行ったとき、旅行に出かけたとき、いつでも「買いたいなあ」「気になるなあ」と感じたことを忘れないようにしておく。
あと、消費者の感覚に鋭敏な流通関係者やライフスタイル誌の編集者との意見交換も刺激になると思うよ。


がんばれ!ワタナベ。

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や:ワタナベ、久しぶり。
わ:毎日、会社来てますけど。
や:そ、そ、そうだよね。そう言えば、毎日、会ってるかもね(^^ゞ
わ:つまり、このブログ「解体信書」では、久しぶりっていうことですよね。
や:...
わ:私、完全に放置されていましたよね。
や:いや、決して放置していたわけではない。
  ワタナベ!!引き続き、PRについて勉強していこうな。な。


や:実は今回からは「プランニング」について一緒に考えようと思う。
わ:「プランニング」ですか。やったー!
  私も一日でも早く、カッコよくプレゼンしたいと思っていたところです。
や:もちろん、「プランニング」の先には企画書の作成もプレゼンもあるけどな。
  その前に、まず「考えること」について話をしようと思う。
わ:「考えること」ですか。私も一応、いろいろ考えていますけど。
や:そうその通り。決して特別な場面や難しい話ではない。毎日の仕事の中にある「考え ること」についてだ。
  だから、企画書の書き方やプレゼンの方法論ではなく「考え方」や「発想法」につい ての「解体信書」だ。
わ:了解しました。

や:実は最近、ある案件のプランニングでかなり行き詰った。
わ:えっ、山田さんでも行き詰るんですか。
や:もちろん、もちろん、詰まりっぱなしよ。
わ:「詰まりっぱなしよ」...って、うちの会社、大丈夫ですか。
や:心配するな、ワタナベ。なんとかなっているから(笑)。


プランナーとかクリテイターと呼ばれる人は、ヨイショも含めて、「発想が素晴らしい」「着眼点がユニーク」なんてホメられることがある。
でも、間違っても、その言葉を真に受けて、「俺は発想がすごい」とか「私はプランニング力が高い」なんて思ってはいけないと思う。
奢るな、自惚れるなっていう以前に、プロなんだから、そんなの当たり前の話でしょと言いたい。
プロ野球選手が「野球上手いですね」って誉められて喜ぶか?ってこと。

もう1つ考えなくてはいけないのは、「あなたしか思いつかない」「あなたのアイデアが素晴らしい」ということは、「あなたの思いつき」「あなた一人のアイデアですね」と言われているってことでもある。
様々な情報を整理して、考えを廻らせながら、関わっているメンバーが納得しながら辿り着く「結論」ではないということだ。

PRに限らず、情報を創造するプロセスの中で、個人のファインプレーやスーパープレイが生まれる瞬間がある。
発想が飛んだり、跳ねたり、自由自在にアイデアを巡らせることも大事だと思う。
一方で、安定して一定の確率で成功するプランをつくるためには、チームで共有する発想や考え方、情報の整理の仕方、ワークフローがもっと大事なんじゃないかと思う。


「考え方」や「発想法」についての「解体信書」では、チームで「考え」をまとめていく方法も、個人個人のアタマの中の発想法も、両方について、数回に分けて話をしようと思う。

ワタナベ、ついてこい!

前回の PR解体"信書"Vol.3<(前編)「伝える」から「動かす」への続きです。
予告通り、オランダ戦後ということで...。


「ワタナベ、土曜日サッカー観たか?惜しかったな。」
「世界との差を感じましたね。」
「それにしても、エスコートキッズ(入場時に選手と手をつないで出てくる子供たち)も日本の子どもたちが全然映ってなかったぞ。不公平やぞ国際映像!!」
「(国際映像に怒っている人はじめて見た)」
「よーし、ワタナベ、山田ジャパンの一員としてお前は走り続けろ!!」
「(どこに向かって?)」


今日は、前回の続きで「+n」の発想について話をするぞ。

前回も話した通り、コミュニケーションのゴールイメージを「伝える」から「動かす」へと発想の転換を図る。
次に、じゃあ、そのためにどんな方法で、相手を振り返らせて、気持ちを動かし、行動を引き出すかを考える。
その戦略を考えるときに、従来の広告枠内のコミュニケーション戦略と、PRを含めた広告枠外まで活用するコミュニケーション戦略では何が違うのか。
これが今回のポイントな。

ではワタナベさん どこが違うと思いますか?

「広告は言いたいことを確実に言えますが、枠外のPRはコントロールができません。」
「広告は媒体費がかかりますが、枠外は媒体費がかからないので費用対効果が高いです。」

...なるほど。
いいかワタナベ、最大の違いはコミュニケーションの主体者にある。

つまり、企業やブランドが自分主体で、自分主語で話すのが広告モデル。
これに対してPRの場合は、私だけではない第3者(私ではない誰か)を巻き込む「+n」のコミュニケーションを目指す。
広告モデルが「私=I」の発想だとすれば、PRモデルは「私たち=We」の発想になる。

この発想の違いは、広告制作とPRの情報制作という実施過程にも如実に表れてくる。

ワタナベ、このPR解体"信書"の最初に話した"PRの木"の話、憶えているか?
あのときに、PRの根幹(コンカン)について話した。
PRの根っこは「社会との関係」、そして幹は「様々なステークホルダーとの関係づくり」だと。

PRの実践は、対メディアへの働きかけだけじゃない。
初期の調査段階から最終的な取材対応まで、人との折衝交渉を中心にした「対人のフィールドワーク」や。
人の話を聞くこと/人の考えを解釈すること/人と人をつなぐこと...「+n」というのは、発想と同時に、PRの実践そのものでもある。

広告の場合(これはあくまでも僕の想像だけど)、プランを練った後はロケ地やスタジオで撮影して、編集して、作品を仕上げていく。
最後は「表現」に収れんされていく"スタジオワーク"って気がする。

一方でPRは人と人との関係をつくっていく"フィールドワーク"で、その中に対マスコミのリレーション活動に含まれると考えて欲しい。


まずゴールの照準を「ターゲットの気持ち動かし、行動を引き出すこと」にあわせる。
方法や手法にこだわらず、どんな状況や局面をつくったらゴールに近づけるのかを想像する。
思い浮かべることに集中する。
その実現のために、まず会いに行くべき人物は誰なのか。
意見を聞くべき相手が想定されるはずだ。
後は、手順と礼儀をわきまえて、躊躇せずにフィールドに飛び出していけばいい。



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今から数年前の話ですが、ベテランPR女史KURE("くれ")さんと話していたときのことです。
「うちの考えるPRって、他社さんとは違うのかな?」と尋ねたことがあります。
「うーん。違うと思いますよ。」という返事。
彼女曰く「"出ました!!"って露出の報告したときに、手放しで誉められたことないですから。」
「必ず、それでどうなったの?反響は?売れたの?...って聞かれます。そこが他社さんとは違うところだと思いますよ。」
その時も、「でもそれって、あたりまえのことだ」と思った記憶があります。

ということで、PR解体信書Vol.3、いよいよ本題に入ります。

まずはPRのゴールイメージについて。
「伝える」から「動かす」へ。


「ワタナベ、昨日サッカー観たか?岡田ジャパンがんばったな!!俺はジーンときたぞ」
「カメルーンが弱すぎたという説もありますけど。」
「... ... そんなことより、PRの勉強するぞ!お前は山田ジャパンの一員だ!!」
「... ...」
「苦い顔すんな!ワタナベ」


よーし、今日はコミュニケーションの"ゴールイメージ"について、話をするぞ。
これはPRを考える上で最初のステップだ。

ここで問題です!
AさんからBさんへのコミュニケーション(働きかけ)を想定してください。
このコミュニケーション(働きかけ)の目的は何でしょう?
①Aさんが、Aさんの「想い」「考え」をBさんに伝えること
②Aさんの「想い」「考え」がBさんに伝わること
③Bさんが、Aさんの望むように気持ちを動かし、行動を起こすこと

さて、どれでしょう。ワタナベ、どう思う?

実は、3つとも「正解」なんだ。
けれど、それぞれレベルが違うことがわかるよな。
20100615.JPG ①が実現しないと②にならないし、③を引き出すには①②は不可欠とも言える。
ただし、"ゴールイメージ"という意味では③が正解。
僕らがゴールを想像するのは、そこから逆算で戦略を組み立てるため。
だから、最終的な「ゴール」つまり、鮮やかな得点シーンを思い描かないと意味がない。
③の状態をイメージすれば、②さらに①とやるべきことが見えてくるはずだ。

ところが、広告とかPRとかコミュニケーションを生業(なりわい)にしていると、ついつい「働きかける」「伝える」が仕事だと錯覚を起こす。
PRで言えば「記事が出ました!」「番組取り上げられました!」と喜んじゃう。
でも、それじゃ不十分ということだよ。

落ち込むな、ワタナベ。
喜んじゃいけないなんて言ってないだろ。
PRだから、ねらい通りに露出を獲得できれば、大いに喜んでいい。
但し、それは3つあるハードルの最初の難関を突破したということでしかない。
ゴールから逆算した通りに、相手に理解されたか、相手の気持ちは動いたのか。
その反応、反響はあったのかまで考える必要がある。

ワタナベ、もう1つ注目して欲しいのは、①②③では、コミュニケーションの主体が変わっていくということ。
①ではAさんが、自分主体でコミュニケーションを考えている。
②では、主体がAさんとBさんの二人になっている。
つまり双方の関係性がコミュニケーションの主体になる。
③では、働きかける相手のBさんをコミュニケーションの主体に考えている。

そして、ワタナベ、PRの発想で言えばな、③を実現するためにBさんにコミュニケーションする(働きかける)のは、必ずしもA<さん本人である必要はない。
仲間と一緒になって、寄って、たかって、Bさんをその気にさせればいい。

つまり、「+n」の発想だ。


と、ここから先は、また次回、オランダ戦の後に話をしよう。

ワタナベよ 『話す』『聴く』『書く』『読む』4拍子揃ったいい選手になれ!



僕のツイッターのプロフィールには、「『しゃべること』『書くこと』『聴くこと』が仕事です」とあります。
僕はコミュニケーションを追求することが自分の商売だと思っていますし、生身のコミュニケーションそのものが仕事になっていけばいいなとも思っています。

「人を動かす『文章術』」(PHPビジネス文書)の著者の川辺秀美さんは、著書の中で『話す』『聴く』『書く』に『読む』を加えて、4つの要素がコミュニケーションを構成するとしています。
4つはバラバラにあるのではなく、連携・組み合せで力を発揮するので、自分の得意不得意や組み合わせのパターンを知る必要があると書いています。
対面コミュニケーションでの『話す』『聴く(聴き取る)』、書面コミュニケーションでの『書く』『読む(読み取る)』というスキルを磨くことが、コミュニケーションに対する感覚や総合力を高めることは間違いないでしょう。(デジタル・コミュニケーションを含めても、この基礎体力は変わらないはずです。)

ということで「PR解体"信書" to ワタナベ」、今回のテーマは『話す』『聴く』『書く』『読む』というコミュニケーションの基礎体力についてしゃべります。

さて、ワタナベに質問。
「ワタナベはどれが得意?どれが不得意?」
「えっ、考えたこともなかった?...そうか、じゃあ、いま考えろ!」(苦い顔をするなって)。

じゃあ、僕の恥ずかしい過去から話をはじめるけど、僕は高校までは真剣に野球しながら、将来は噺家(落語家)になろうと考えていた。
噺家志望の高校球児。
野球弱そうって、失礼な。
中学生の頃から、毎日、風呂に入りながら、歌を歌うように一人で落語を喋ってた。
なので、自分では『話す』が得意で、逆に『聴く』が不得意だと思っている。
ただし、"得意"にこそ落とし穴があるからな、最近はあんまり調子に乗って喋らないようにしている。
噺家じゃないからね。

よく野球では『走』『攻』『守』3拍子揃ったいい選手って言うけど、コミュニケーションの4つの要素は、それ以上に絡み合っている。
書くためには読めなきゃいけないし、喋れない人は聴き取ることも上手くない。
多少の得意、不得意があったとしても、最後はバランスと総合力やと思う。

そもそも日常のコミュニケーションは"無意識"のことが多い。
ワタナベも、これまで自分の考えや望みを自然体で家族や友達に伝えてきたはずだ。
それは意志疎通の前提として「家族関係」「友人関係」ができあがっているし、そういう親しい間柄では複雑な問題をやりとりすることも少ないから。
日常会話で、構成やシナリオを考えて喋っている人は少ないよね。
但し「恋愛関係」だけは別な、超意識的なコミュニケーションになる。

一方で、ビジネスのコミュニケーションは、前提となる関係性がないところから話をはじめることも珍しくない。
ビジネスの前提にあるのは「利害関係」だから厄介だ。
だからワタナベのような新入社員やキャリアの浅い人たちは、上司から「文章が書けない」「まともに喋れない」「人の話聞いとんのか」「資料のどこ読んできたんだ」と叱られるわけだ。
"意識・意図のある"コミュニケーションに慣れていないし、経験も足りない。
だからこそ学ぶ必要もある。

今回は『話す』『聴く』『書く』『読む』それぞれの実践の前に、まず4つの基礎体力に共通するコミュニケーション上の"意識"や"意図"について話そうと思う。

4つの基礎に共通する第一歩は、「誰と誰のコミュニケーションなのか」をはっきりとさせること。
「私は誰?あなたは誰?」。
バカみたいに聞こえるけど、意外にこの大前提が曖昧なままコミュニケーションをはじめているケースがある。
ワタナベ、自分の立場を明確に説明せずに、いきなり話を切り出したりしてないか?
あなたは、あなたをよく知っているけど、相手はあなたを知らないのが当たり前。
一方的な思い込みを前提にコミュニケーションをはじめないこと。
1つ目の意識は、「主体を明らかに!私は誰?あなたは誰?」だ。

次に、『話す』にしろ『書く』にしろ、その中身、シナリオを考える。
シナリオを描く前提となるのが「コミュニケーションの目的を明らかにする」ことだ。
ドラマや映画の脚本なら、最初からネタがばれないように、紆余曲折の末にクライマックスをもってくるかもしれない。
でも、ビジネス・コミュニケーションのシナリオで一番大事なポイントは、目的(意図や結論)をできるだけシンプルに、早く伝えることだと思う。
相手に「なぜ私はあなたに働きかけているのか」「私はあなたに何をして欲しいのか」を簡潔に最初に伝える。
尻切れトンボでも構わない。
前段ばかりが長くなって、相手が焦れて聞かなくなる、読まなくなるのを避けることの方が重要だ。
2つの目の意識は、「言いたいこと(書きたいこと)を明らかにして、かつ早く伝える」だ。

この2つの意識は、コミュニケーションを構成する最低限の枠組みをつくることにつながる確認事項だ。
言い換えれば、この2つのポイントが明らかであれば、なんとか枠組みだけは成立する。
受け手からすると、「楽しい」「興味深い」話であるかどうかは次の段階になる。
まずは意味がわかるし、意図は伝わる。
逆にこの2つを外すと、受け手は「苦痛」だし、「不愉快」にもなる。
余談だけど、会議の仕切りの善し悪しは、この枠組みの作り方にかかっている。
冒頭のアジェンダで、「今日の会議は何のためのものか」「どんな順番でどんな話し合いをするのか」を示すことができるかが問われる。
枠組みや道筋が見えなければコミュニケーションは迷走する。

反対に『聴く』『読む』の立場になっても、この構造は変わらない。
ワタナベ、自分が「聴き取る」「読み取る」立場になったら、この2つの意識で、相手のおしゃべりや文章からコミュニケーションの構造を抜き取れ。
迷走しそうな話や混乱気味の文章から上手く枠組みをつくっていくのもプロの仕事だ。

枠組みができれば、その上に、意図を加えていくことができる。
相手との関係や場の雰囲気、引き出したい反応から逆算でコミュニケーションに味付け、演習をする。
基本的な演出として、スピーチなら、立って喋るのか、座って喋るのか。
文章なら、「ですます調」「である調」「口語調」どれでいくのか。
タイトルやリードの付け方も重要だ。
フランクで親しみやすい雰囲気を出すのか、生真面目な姿勢で臨むのか。

気をつけて欲しいのは、ビジネス・コミュニケーションで過度の演出は逆効果だと思う。
特にワタナベのような新人は、受け手が「聴きやすい」「読みやすい」ことを大事にすればいい。
「~やすい(ノンストレス)」「気持ちよく」が最初で最大の意図だ。

「お時間はどのくらい大丈夫ですか?」「わかりました15分でお話します。そのあと残り15分で協議をさせてください」
「このお手紙では、まず結論を最初に書くことにします。もし興味をもっていただければ、そのあとの3つの理由、根拠の部分にも目を通していただければうれしいです。」
「今日はキチンとネクタイをして、直立不動で、自己紹介だけを済ませよう。」

すべては、「~やすい(ノンストレス)」「気持ちよく」コミュニケーションのためだ。
ここまでできるようになれば、あとは中身次第、コンテンツ勝負に持ち込める。
意図の込め方はいろいろある、個性があった方がいい。
自分なりに試してみればいい。

1つの例として、「コトバのあそび」について説明しておくね。
例えば、この文章のタイトルは「PR解体"信書"」だよね。
本来なら「解体新書」だけど、ワタナベへの「信書」と、もじったわけだ。(こうやって説明をするのは恥ずかしいなあ。)
キャッチコピーでも、タイトルでも、自己紹介のキャッチフレーズでも何でもいい。
コトバで遊べるようになればいろんな場面で使えるようになる。
コトバのリズムや響き、韻を踏んだり、表記で遊ぶこともできる。
コトバあそびに敏感になろう。

最後にもう一つ大事なことを付け加えておきます。
それは"時間"と"文字数"の感覚。
コミュニケーションには必ず物理的な制限がつきまとう。
5分で話すのか、30分で話すのか。
200文字でまとめるのか、1000文字でまとめるのか。
ここでの意図は「時間と文字数を使いこなせ!」だ。
ワタナベ、最初からは、使いこなせなくても、「文字数」「時間」を常に意識しろ。
ちなみに、このブログで、約3800文字だよ。

ワタナベ、ここまでの「コミュニケーションの基礎体力『話す』『聴く』『書く』『読む』」は、実はビジネスマンなら皆に共通する話だよな。
銀行員でも、メーカーの人でも、サービス業でも、みんなにあてはまるはずだ。
だから、この機会に友達にも、このブログ紹介しとけ。(あれっ、また苦い顔して)

ワタナベへ質問。
僕らはコミュニケーションのプロだよな。
僕らは、他の業界に勤める人とどこが違うかわかるか?
...その通り、僕らはプロとして、他人(他社)のコミュニケーションをサポートすることを仕事にしている。
だからこそプロとして、誰よりも4つの基礎体力を鍛える必要があるんだよ。


最後に参考図書をまとめるから読んどいてね。
コミュニケーションの指南書は書店にもたくさん並んでいるけど、目的を明確にした書籍の方が参考になると思います。

川辺秀美 「人を動かす『文章術』」(PHPビジネス文書)
鶴野充茂「頭のいい説明「すぐできる」コツ―今日、結果が出る!」(三笠書房)
菅野夕霧 「ヤフートピックスを狙え」(新潮新書)
萩原千史 「限られた予算で売上も知名度も好感度もアップするPRの教科書」(ディスカヴァー)


20100604.JPG


この春、うち(インテグレート)のPR部門に入ってきた1年生はたった一人、ワタナベさん(女性)です。
少数精鋭の極みですね。

ちょうど今頃は、いろんな会社で新人たちが「研修」を終えて「現場」へとデビューをする時期ですよね。
うちの1年生のワタナベ宛ての「信書」として、PRついてしゃべろうと思います。
題して、「PR解体"信書"toワタナベ」です。

僕自身がいままで「PR」の仕事をしてきて感じてきたのは、「PR」の捉え方は、人によってずいぶん違う、「PRって仕事はかなり曖昧だな」ということです。
だから、ワタナベはこれからきっと、いろんな人のPR論を聞くことになるかもしれません。

ちなみに、日本のPR業界で「PR」という言葉を正面からきちんと定義しようとした先輩として、
井之上PRの井之上喬さんがいます。
ワタナベ、知っているか?
昔からいろんなPRの本が出ているけど、『PR』という概念をしっかりと規定してから、話をはじめようというスタンスに立っているは井之上さんぐらいじゃないかな。

井之上PRのサイトには、
「パブリック・リレーションズ(PR)とは、個人や組織体が最短距離で目標や目的に達する、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動である」
と書いてある。
井之上さんの「パブリック・リレーションズ―最短距離で目標を達成する戦略広報」は目を通しておくように。
但し2500円の本だから、買ってもいいけど会社のライブラリーを利用すればいいよ。

なんで井之上さんの話を持ち出したかというと、井之上さんの定義は「PR」を概念的に規定したものだと思う。
哲学と広報学からの規定だと言える。
一方でこの信書では、僕なりに「PR」という仕事を、"今の"マーケティングやメディア環境や社会問題から捉えてワタナベに伝えてみようと思う。
「実在」「実践」からの規定って感じかな。

「苦い顔」すんな。大丈夫、わかりやすく説明するから。


見ろ、ワタナベ、これが「PR(ピーアールの木)」だ!


20100526.JPG
わかるか。これがPRの全体像、名付けて「PRの木」。

仕事の木は、大きくは3つの部分でできている。
まず根幹(コンカン)、そのコトバの通り、「根っこ」と「幹」な。
その上で、「枝葉があって、花や実」がなっている。
これが仕事の木の構造な。
PR以外でも、仕事はこの3つの部分で構成されているとも思うけどね。

で、PRの木の「根っこ」について。
地面の下、PRの根底にあるのは「社会」「公共」に通じる広聴・広報活動な。 情報の"社会化""組織化"に関わる活動。
あのな「環境問題」や「政党PR」を担当しているから、社会や公共につながっているということではないんだよ。
シャンプーや洗剤のような日用品のPRを担当していても、クルマのPRを担当していても、PRの根っこは変わらない。
僕らはいつも、世論、ジャーナリズムと向き合っている。
PRっていう仕事は、不特定多数の一般市民の「合意形成」に関与するわけだ。
大袈裟ではなく、世論に影響を与えるわけだ。
カッコよく言えば「ソーシャル・コミュニケーション・デザイン」、勘違いすると「世論操作」にもなる。
PRの根っこには、情報を公に取り扱うという責任が横たわっている。
よく若いPRマンが「パブリックなテーマ、社会的に意義のある仕事をやりたいです!!」って言うのを聞くけど、そんな簡単に根っこに関わる仕事ができないよ。
むずかしいよ。本当に根っこから仕事をつくっていくのは。
いまはカッコのいい「ソーシャル・コミュニケーション」を真似るよりも、カッコ悪くてもいいから、泥んこになって商品PRに取り組め。

次に、PRの木の「幹」はなんだと思う?
ワタナベどう思う。
なるほど、「メディアの人との関係」な、確かにそれもある。
でも、それは、このあとの枝葉と実の話に近いかな。
僕はPRの幹は、複数のステークホルダーとの関係づくりやと思う。
あれ、また「苦い顔」して...。
「ステークホルダー」は利害関係者という意味な。
つまり、いろんな立場の人と関係づくりということだよ。
これは実際、仕事で体験しないとピンとこないかもしれないけど、具体的には、いろんな人や会社、団体と会って話をして、交渉して、枠組みをつくったり、場を設定したりする仕事。
これを何回も経験していくうちに、ある一つのテーマの元に「n to n(多数対多数)のコミュニケーション」をデザインする感覚がわかってくる。
PRというと企業(クライアント)→マスコミ→消費者という単純な情報伝達の中で仕事を捉えている人が意外と多い。
ワタナベ、間違っても、企業とマスコミの間をつなぐ仕事だと、そういう狭い解釈に陥るな。
もちろん、ワタナベの言う通り、マスコミとの関係はPRパーソンにとって重要だよ。
でもな、少なくともそれはこの仕事の幹ではない!と思うよ。

最後に「枝葉と花や実」の話な、木を眺めると、目に入るのは「枝葉と花や実」だよね。
だから、PRの木も、マスコミとの関係、記者発表会、芸能の囲み取材、セレブリティへのインタビュー、大々的なPRイベント...が目立つよね。
でもそれは、「枝葉」「花」「実」だよね。
でも、それを"枝葉末節"とは思わないでね。
「花」も「実」もない仕事が味気ないし、何よりも根と幹だけじゃビジネスにはならないからね。

ワタナベ、いま毎日、リスト整備して、リリース書いて、テレビ局、新聞社に情報持ち込んでいるだろ。
「何よこの単純作業」「アポ取りの電話がつらいなあ」とか思ってないか。
これからはクライアントにも叱られるし、メディアにもどやされたりもするぞ。
でもな、そのうち、幹がしっかりしてきて、根っこが張れるようになるからね。
5年目の先輩を見てみろ、幹の仕事にチャレンジしてるはずだよ。
10年目先輩と話をしてごらん、幹から根っこの話をしてくれるはずだから。

ワタナベ、大事なことは、大きな木の中で、目の前の自分の仕事にしっかり取り組むことだよ。



ということで、今更ながらブログスタートです。

「いまさら?」「なぜいま?」と言われそうですが、きっかけはオフィスの移転。
あと2010年、年頭に「今年はブログとツイッターやるぞ!」ってアナログな私が宣言したものですから、やらざるを得ないわけです。

ネットの進化、コミュニケーション環境の変化、急進は、本当についていくのが精一杯です。
いまは、2周周回遅れでついていっているんですけどね(笑)。
2周遅れでも、あきらめずに「走らなきゃ」と思って、昨年からツイッターもはじめて、年初の「宣言」に至ったわけです。
44歳のおっさん的には、かなり痛々しい感じですが、「でも、とにかくやってみないとわからないから」、何事もね。

ツイッターについては昨年、仕事で総選挙の報道分析をやった時にアカウントをとりました。
政治家の皆さんのつぶやきをチェックしてました。
以来、ツイッターの動向はチェックしてましたが、自分から積極的には使ってはいなかったんです。
なので、今年から、ツイッターも積極的にと心がけてます。一応。

ブログは「忙しい」のと「恥ずかしい」のを理由に、延び延びにしてきましたが、ようやくスタートする次第です。

全く急いでいません。どうせ2周遅れてますから(笑)。

そのタイトルは「超PR思考ノート」。

実際毎日使うノートは、ここ最近(写真)のカラー表紙のノートを使っています。
このノートを使い始めるときに、私は必ず二つのことをやります。

一つは表紙に「タイトル」を書くこと。
と言っても、自分ノートに題名があるわけではないので、その時の自分の考えてることや大事にしていることをタイトル的に書くわけです。
ノートを使い始めるときの「初心」を記して「気合い入れる」感じです。
ここ数年は、「Public Relations for Marketing Management」と書いています。
これはフランクジェフキンスという私が勝手に慕い尊敬する英国のPRの研究家で実践者の著作(邦題)「PRコミュニケーション管理」の原題です。

もう一つやることは、最終ページ(2~3ページ分)に必ず、自分の役割や目標を書きます。
これは『7つの習慣』からきています。
私は自分の役割を大きく4つに分けています。
その一つ一つの役割での自分の目標や心がけを書きます。
それと、「今年」「来年」「さ来年」むこう3年間ぐらいで、やりたいこと、実現すべき施策も書きます。
最後に、4つの役割で「ゴールイメージ」をノートの巻末に書きます。
『7つの習慣』にある、自分の 最後の時=「葬式」をイメージしながら自分の「ゴール」を考えます。

ここ最近は表紙も巻末、あんまり内容が変わらなくなってきました。

初めと終わりだけは、ちゃんと記しておきます。
自分にとってはちょっとした儀式であり、リマインド行為であり、自己暗示なんでしょう。
ノートの中身がぐだぐだで、全く大したことなくて、ノート活用術も何もないんですね。
他人が見ても「???」という図形や、意味不明な文章ばっかりです。
ただ毎日思いついたことや気になったこと、会議のポイントなんかを書きとめています。
それでも表紙の「初心」と巻末の「ゴール」だけはぶれないようにと思っています。

そんなわけで「超PR思考ノート」も、中身ぐだぐだ、ただし、「初心」と巻末の「ゴール」だけは忘れないブログにしたいと思います。
いつでもお立ち寄りください。
そして、もしよかったら最後までお付き合いください。


2010年5月1日 山田まさる

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プロフィール

名前:山田 まさる
株式会社インテグレート取締役COO
早稲田大学第一文学部卒。
PRプロフェッショナル。
2007年、藤田康人とともにインテグレートを設立、取締役COOに就任。05年に「ファイバー・デトックス」キャンペーンで日本PRアワードグランプリキャンペーン部門賞を受賞。08年に「魚鱗癬」啓発活動で同・日常広報部門最優秀賞受賞。

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