P&Gパンテーン×NPO法人キャンサーリボンズ『キレイの力』プロジェクト
1.課題
キャンサーリボンズとは、2008年6月23日に発足したNPO法人で、がん患者さんが自分らしい生活を送るために役立つ情報やケアを中心に、お互い思いあい、助けあえる環境づくりを目指しています。
「がん」という領域では、これまで様々な取り組みがなされてきました。
ただ、その取り組みの多くは「患者さん中心に」が大前提で、周囲が患者さんを支える一方方向のものでした。そのため、患者や家族、医療者以外の一般の方々には共感できる入り口が見えにくく、自分に関わってくる「がん予防・早期発見」以外のテーマは、社会の一部の人たちの中で掘り下げられてきたといえます。
キャンサーリボンズは、がん患者、その家族、医療従事者のみならず、社会全体でがん患者へのサポートが必要であることを提唱し、一般の方々も立場を超えて、「がん」のネットワークに参加し、一人ひとりが自分のできること=価値を発揮していくことを目標として啓発活動を行っています。
しかし、その実態や目的が知られていないがゆえに協力者を募れず活動そのものが停滞してしまうというNPO法人は少なくありません。その意味で活動の認知度を高め、一般の方々からの関与を増やすことが必要とされています。
2.取り組み
キャンサーリボンズの理念・考え方を具現化した象徴的な活動として、2009年にP&G・パンテーンと共同企画である「キレイの力」プロジェクトが始まりました。
まず、「キレイだと自分も明るく元気になれる」という、一般の方々でも共感しやすく、想いを理解できるワードをプロジェクト名にしたことも特徴のひとつです。
プロジェクトの活動の柱は2つです。
-看護学生との取り組み
プロジェクトに賛同してくれた看護学生に髪の毛を寄付してもらい、抗がん剤治療の副作用で髪を失った女性のがん患者さんのためにウィッグを制作・贈呈する取り組み。
看護学生に協力いただくことで、若い世代にも共感してもらえるプロジェクトを目指しました。
-P&G パンテーン ドネーション製品
ヘアケアブランド、P&G パンテーンよりドネーション製品を期間限定で発売し、売上げの一部(1製品を購入ごとに2円)を医療用ウィッグ制作のためにプロジェクトに寄付。
ドネーション製品という形を取ることで、“一般の人が参加できる”仕組み作りをしました。
3.PR戦略立案
日本で初めて、かつ、取り組みそのものに人々の共感を得る力があるため、できるだけありのままに、看護学生やウィッグを受け取られた女性の笑顔や言葉を伝えることに主眼を置きました。
その際、ウィッグを受け取った女性たちからの「次は誰かの役に立ちたい」という言葉や、看護学生がこのプロジェクトへの参加を通じて得た喜び、製品を買うことで誰かの役に立てて嬉しいなどの一般の方からのメッセージ等を発信することで、「がんの患者さんを一方的に支える」のではなく、お互いに支えあいエンパワーすることの大切さが理解されるように配慮しました。さらに、患者さんや看護学生など、取材対象に負担がかからないようコントロールすることも大きな役割でした。
また、NPOが展開する他の企画(がん患者さん支援の場となるリボンズハウスを全国に展開、「6/21はがん支え合いの日」キャンペーンなど)を効果的に活用できるよう、PRの内容やタイミングを組み立てました。
4.メディアプロモーション
次に、プロジェクトをより取り上げてもらえるよう、イベントの企画を行いました。
-髪を提供する看護学生のカットイベント
表参道の美容室にご協力いただき、看護学生たちが半年間伸ばした髪を実際にカットし、提供するイベントを実施しました。
-ウィッグ贈呈式
完成したウィッグを、がん患者さんに贈呈するセレモニーを実施しました。髪を提供した学生も出席してもらった他、記念品としてウィッグと一緒に鏡を贈呈。ウィッグを受け取った患者さんに実際に着用してもらい、キレイを取り戻した自分の姿を見ていただきました。
5.活動の成果
活動の結果、下記のような成果が生まれました。
(1)報道件数 212件(テレビ:14件、新聞・雑誌メディア:132件、WEBメディア:66件)
(2)ドネーション製品からの収益金2000万円を達成。106個のウィッグを制作。(当初目標100個)
このようなマスコミでの取り上げを見て、キャンサーリボンズの活動に何らかの形で参加したい、という声が患者さんだけでなく、一般の方々・有名タレント・美容学校・大学・図書館や行政施設・企業など多岐に渡るところから殺到しました。
一般の方々に共感してもらうことに焦点をあてプロモーション活動を行うことによって、得てして患者さんや医療の世界限定のものになりがちなテーマ・活動を情報の力によって社会化し、活動の認知向上に大きく寄与することができました。
また、一般の方々の関与が増えたことが、NPOの活動自体を翌年以降も継続させていく原動力となるネットワークの整備にもつながりました。
6.本年度の取り組み
2010年も引き続き、ウィッグの制作・贈呈の取り組みは継続。最終的に60名の看護学生さんに参加いただきました。今年はさらに、看護学生さんのヘアカットを理美容専門学校の学生さんに担当していただき、支援の輪が広がりました。
また、がん治療中の悩みに対応した美容ノウハウのDVDを制作し、患者さんへの情報提供に活用していただくことを目的に、がん診療連携拠点病院などの医療機関に配布もしております。
活動主体 :P&G、NPO法人キャンサーリボンズ
P R :株式会社朝日エル、株式会社コムデックス




