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【The対談 Vol.02】
広告と情報のデュアルクリエイティブ

2009.12.25
前回に引き続き株式会社トリプルセブン・インタラクティブ代表取締役 福田敏也氏をお招きし、IMCを実践するための組織体系、そしてこれからの統合マーケティングの在り方についてお話を伺いました。

福田 敏也

株式会社トリプルセブン・インタラクティブ 代表取締役

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藤田 康人

株式会社インテグレート 代表取締役 CEO

【The対談 Vol.02】 広告と情報のデュアルクリエイティブ

藤田:我々に相談にこられるクライアント様で一番多いのが、メディアニュートラルで、メソッドニュートラルなマーケティング組織を作りたい、でもなかなか作れないと悩んでいらっしゃる方々です。IMCを実践するにはそれが実行可能な組織体系である事が必要です。やはり人や予算などの既得権は皆さんなかなか離さないので、このままじゃダメだと思いながらも変えていく方向に進めない現実があるようですね。

福田:私は9月に行われたAd:techTokyoのセッションでユニクロの勝部さんに色々お話を伺ったのですが、その時に面白いなと思ったお話があるんです。
今、勝部さんはグローバルコミュニケーション部の部長さんでいらっしゃるのですが、その組織や勝部さんのポジションというのは、会社として「これからグローバルマーケティングが大事だからグローバルマーケティングコミュニケーション部を作ります」という組織ありきでできたということではないそうです。
勝部さんが『ユニクロック(UNIQLOCK)』等色々なことを仕掛けていく中で、「ローカルだと思っていたものがグローバルになるんだ、ネットってすごいな」という出口に至った。そのプロセスがあったから、結果としてグローバルコミュニケーション部ができたということなのです。要はグローバルマーケティングセクションという組織を先に作った瞬間に『ユニクロック(UNIQLOCK)』という答えはないのだと思います。そういうツールにグローバルコミュニケーションの責任を与えるということは絶対ありえなかった。

藤田:なるほど。我々がクライアント様からごIMCの相談を受けた時は、まず、クライアント内でバーチャルプロジェクトを立ち上げて、プロジェクトリーダーを決め、その人と一緒に各部署を行脚するんです。そこでIMCをやることの意味、そして結果的にそれをやることにどういうメリットがあって、どう自分の部署の評価につながるか、というストーリーを作りながら選挙運動していく。そこまでしないとプロジェクトが立ち上がらないんです。ユニクロさんの例から言うと、今僕らが苦しみながらクライアント様のお手伝いをしていることで積み重ねているものがあって、結果ある時期に、「やはりこれはこういう組織体系やプロジェクトマネージメントのほうがいいよね」ということになって、はじめてIMC基軸の組織を作ることができるということですよね。

福田:それもあるかもしれませんし、現状ドメスティックなタスクを背負っている方に、いきなりグローバルな業務を切り分けてしまうとか。そう考えた時に、自分たちの物の考え方がその変化によって変わるということがあるのかもしれないですね。

藤田:そうですね。私がAd:techのセッションの中でお話したのは、デュアルクリエイティブというテーマで、広告クリエイティブと情報クリエイティブを並列で持ちましょうということだったんです。当然どのメディアも広告枠の中と外の両方を持っていて、スペースでいえば広告枠外のほうが大きいわけですから、縦横無尽に、2つのクリエイティブと枠の内外で2×2の4次元の統合マーケティングをしましょうという提案をしました。我々が次世代型統合マーケティングと言っている新しい4次元の形態の中でいうと、今のマーケティングはまだまだシングルクリエイティブで、広告枠内の話がメインだと思うですね。今はクリエイティブの領域で統合化が進んでいるのではなくて、どちらかというとデバイスであったり、メディアの統合化にみんな進んでいる気がするんですよね。水平の流れはあるけど、僕は垂直の流れもあっていいんじゃないかなと思って、もっといえば裏表も多次元化の流れもあっていいんじゃないかと思っているんです。

福田:今おっしゃっている話でいうと、テレビの中のデュアルという話もあるわけじゃないですか。
もちろんCMとしてどう考えるのかというのもあるし、番組PRとしてどう考えるのかということもそうだし、それはメディアとして考えるということよりも、情報の加工の仕方と出し方のマネジメントの中でどうそれが統合的に役割分担していくのか、どう設計図が描かれるのかに尽きますよね。

藤田:タッチポイントということを考えるとすると、日常生活で広告ばかり見ているわけでもないし、記事ばかり見ているわけでもないし、携帯ばかり見ているわけでもない。色々なタッチポイントがあって、広告枠の内外だけでなく、店頭があり、もっというと商品があり、人がいて、あらゆるタッチポイントの中にどうやってブランドのメッセージや価値観を埋め込んでいくかということが究極の統合マーケティングの形なのだと思うんですよね。その中で広告だとかwebだとかPRだとか分けて考えること自体が、ナンセンスなのではないでしょうか。

福田:私も色々な形で広告に関わってきて、番組というコンテンツの中に情報をどうしみこませるか、街中の建物や道路にどうしみこませるのか、そのしみこませ方への知恵の持ちように面白味がきっとあるのだと思います。

藤田:そうですね。PRと言うと、どうしても露出の手法として捉えられたり、広告じゃなくてパブなんだよねという言い方をされてしまうところがあるんですが、僕らが作っているものはクリエイティブでありコンテンツだと思うんですよ。例えば福田さん達クリエイターさんは才能もあるし、経験もあるし、そういうある限られた人でないとできない仕事は確かにあると思うんですね。でも我々はそうではなくて、事実やファクトを、調査、検証、スクリーニング等によって、クリエイティブという要素を左脳的な意味合いに変えなくてはならない。我々がやっているPR的なコンテンツというのは、世の中との接点にあるので、驚きとか喜びよりも公共性・必然性・事実に寄らなくてはならず、それをいかに量産できるのかということが大事なところなんじゃないかなと思っているんです。

福田:我々クリエイターと呼ばれる立場から言いますと、自分達は安心してジャンプがしたいと思うことがあるんです。クリエイターは、世の中の流れやターゲット、商品等について自分たちの目線で分解して左脳的な落としどころを決めてから、後はそれをどうわかりやすくシンプルにするのかということや、どうジャンプしていくか、というプロセスで物事を考えているので、左脳的な組み立てはとても重要なんですね。
ですから、最初の左脳の部分が安心してジャンプできる足場であることは、すごく日常的に欲していることなんです。藤田さんの会社がやっていらっしゃるマーケット分析を含めた情報環境分析は、クリエイターの立場でもとても大事だし、そこの役割分担ができることでより面白いことになると思います。うまくお互いに役割分担しながら作っていけるということは、次に何かできる可能性の大きな領域だと思っているんですよね。

藤田:我々もその期待に添えるように、レベルをあげていきたいと思っています。その時に僕らは、福田さんたち右脳側の方々が何をしようとしているのかということがまったくわからないとインタラクティブな会話にはならないので、左脳だけでなく、右脳的考え方の部分も学んでいかなくてはならないですよね。そういう中で統合的に、メッセージ開発からソリューションまで含めてスパイラルに組み上げていくことが、今の時代のマーケティング成功の方程式の1つだと思います。

<福田さんからインテグレートへメッセージ>

インテグレートという会社は、インテグレートが果たすべき役割・機能をきちんとアナウンスメントしている会社なので、それに対して僕があえて何かを期待する・お願いするということはないですね。 次は僕らがインテグレートの方々と、より現場の泥沼を共有するということが大事なフェーズになっていくのだと思っています。 今は、大きなプロジェクトに入っていただいたときに、大きな会議室のすごく大きなテーブルをみんなで囲んでいる状況での話になっているので、「本当に何がいいわけ?」という議論がなかなかできなかったり、何かやりたいことはあるのだけれど、共有や議論する場所がないということになっている。

そうではなくて、もっと小さなテーブルで一つ一つ話を詰めていくような、泥沼の座組みというフェーズに入っていかなくてはならないということを思うし、そういう形でご迷惑お掛けしてもいいですか?というお願いをしたいと思っています。

福田 敏也

ゲスト・プロフィール

福田 敏也
1982年、博報堂入社とともに制作局に配属。CMプランナーとして数多くの国内企業のCM制作及びキャンペーン設計にたずさわったのち、1995年博報堂電脳体設立とともにネットクリエイティブの世界へ。2003年独立し、トリプルセブン・インタラクティブをスタート。以降、多数の広告主の多種多様なコミュニケーション活動を企画・設計している。カンヌ国際広告祭金賞、NY Oneshow金賞ほか、国内外広告賞受賞多数。多摩美術大学、武蔵野美術大学で講師を務めるなど、後進の指導にも積極的に取り組んでいる。