Special Contents 特別企画

「脱広告・超PR」出版記念インタビュー(COO 山田まさる)

インテグレートCOO山田まさるが2010年7月2日に「脱広告・超PR」(ダイヤモンド社)を出版いたしました。”脱広告・超PR”とは何か?自ら書籍に込められた真意を語ります。

山田 まさる

株式会社インテグレート COO

「脱広告・超PR」
―広告を信じなくなった消費者を動かす「連鎖型IMC」

(株式会社インテグレート COO 山田 まさる著)が、ダイヤモンド社から2010年7月2日に発行されました。10余年積み上げてきたマーケティングコミュニケーション戦略、情報を伝播させる仕組みづくりを、具体的事例とともに明かしています。

「脱広告・超PR」出版記念インタビュー(COO 山田まさる)

タイトルの「脱広告・超PR」とはどういう意味ですか?

「脱広告・超PR」は、PRの発想から始まった私たちインテグレートの仕事を表現しています。

これまで、マーケティングコミュニケーションの現場で、広告偏重だと感じることが良くありました。そのときの気持ちを一言でいえば、マーケッターやプランナーの発想が「広告枠」ありきになっているのではないか、ということなんです。

広告という枠をいったん取り払ってマーケティングコミュニケーションを考えてみませんか。それが「脱広告」に込めた意味です。この本では、15段(新聞)、15秒(テレビ)といった広告枠に囚われないコミュニケーションのあり方を一貫して追求しています。

一方PRは、マーケティングコミュニケーションの中では、傍流という感じがありました。実際、メディアとの付き合い方にしても個人のリレーションが基本で、ビジネスの視点で見ると、不確実な要素が多く、本流にはなり得なかった。しかし、PRの不確実性をできる限り取り払いながら、PRにしかできない機能をたたせてマーケティングコミュニケーションに活用していけばビジネスとして十分成り立ちますし、そうあるべきです。これからのマーケティングコミュニケーションにはPRが益々必要になってくるはずです。PRを単独で走らせるのではなく、IMC(統合マーケテインングコミュニケーション)の中で生かしていく、それが従来型のPRとは違う、「超PR」なのです。

もう一つのキーワードになっている「連鎖型IMC」とは?

従来型のマーケティングと「連鎖型IMC」の違いは、一言で言えば、刷り込み型と連鎖型(対話型)の違いです。「伝えること」を目的に、情報の提供を繰り返す従来型に対して、連鎖型では、「人を動かす」ことを目的に、動機付けとなる提案をして、情報の連鎖を広げていくのです。説得力のある情報の構築と、情報が連鎖していく仕組みをつくることによって、最終的に消費者を動かす、それが「連鎖型IMC」です。

そこで着目すべきは、マスコミによる話題化と、それに対する情報の反響です。マスメディア、WEBメディア、SNSやブログなどのくちコミサイトを統合的な戦略の中で組み合わせて、コミュニケーションを連続させていく。マスメディアを起点に、WEB上での対話を活性化させながら、消費者の行動を導いていく。こういったマスコミとくちコミの”協奏”で、情報伝播の大きなうねりを作り出していく、というダイナミックなフローが「連鎖型IMC」の特徴です。

一般的に、ブログへの期待が大きくなりすぎているきらいがありますが、ここは反響板だと考えています。ブログは一般消費者の声であり、マーケッターにはコントロールできないメディア。マスマーケティングにおいては、あくまでもマスコミがあっての反響だと捉えています。

情報の連鎖をつくるために大切なことは何ですか?

ワンショットで集中的に情報を伝えるマス広告とは異なり、枠外を使う連鎖型のIMCでは、情報が次から次へと伝わっていきます。ここで重要なのは、受け手側の気持ちで考えるということ。何を言いたいかではなく、聞いた人がどう感じて、どう動くかに視点を置くことです。

情報の連鎖・くちコミというと、どうしても伝言ゲームのように、発信者側から言いたいことをどう伝えていくのか、と考えがちですが、実際はまったく違います。情報は次から次へとそのまま伝わるのではなく、まず情報を受けた人の「スゴイ!」と思った気持ち・感動が、次の人に伝わっていくのです。私たちは、ある人の話を聞いて感じた気持ち・感動を次の人へと伝えているのです。

どのような思いで執筆したのでしょうか?

自分がこれまでやってきたPRを一度たな卸しして整理しておきたかったというのが一つ目の動機です。二つ目は、自分たちが行っているPR発想のIMCを世の中に問う、そんな思いで執筆しました。教科書的なものではありませんし、手法や戦術の話でもありません。専門的な知識がなくても読みやすいように、事例を引きながらマーケティングコミュニケーションの考え方や取り組むべき姿勢について、実践者の立場から書いたものです。

読者として一番意識したのは、一般企業で商品企画や販売促進、宣伝、PRなど、何かしらマーケティングに接点のある方。現在取組んでいるマーケティングの仕事に問題意識を持っている方。広告宣伝費のために潤沢に予算がある大企業の方だけでなく、そんなにマス広告の予算が取れないという方たちにも、届くと嬉しいと思っています。

読者としてもう一つ想定したのは、PRに従事している若い世代の人たちです。自分たちが今取り組んでいるPRが、この先どこに向かっていくのかを提示している本は、これまでになかったと思います。こういうことが実際に行われている、こういうことをしている会社があるということを、知ってほしいと思いました。少し大袈裟かもしれませんが、若手を勇気付けるという気持ちです。

この本を読んでくれた若い世代のPRプロフェッショナルが、「超PR」のその先を目指してチャレンジしていく、そんなきっかけになるとうれしいですね。