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デジタル時代のストーリーづくりと
カスタマーセントリックの組織づくりとは
「カスタマーセントリック思考」出版記念インタビュー
(執行役員 村澤典知)

2016年7月5日、インテグレートCEO藤田、執行役員 三宅・村澤の3名による共著「カスタマーセントリック思考」(宣伝会議)を発刊いたしました。“カスタマーセントリック”を実現する組織とは?デジタルはどう関わってくるのか?執行役員の村澤が、これからのマーケティング組織と人材について語ります。

「カスタマーセントリック思考」
-真の課題発見が市場をつくる-

株式会社インテグレート 代表取締役 CEO 藤田 康人[編著]
執行役員 三宅 隆之 、村澤 典知 [著]

顧客の顕在ニーズを刈り取るだけで、新たな需要の創造ができていない。そんな悩めるマーケターに、いま必要なのは、 消費者の心の奥にある、彼ら自身も気づいていない本音をつかむこと。そして、企業内にカスタマー・セントリック(顧客中心主義)の考え方を根付かせること。 戦略を決定する際、社内事情にとらわれていませんか。
意思決定の基準を「顧客」に置き、イノベーションを起こすためのメソッドをお伝えします。


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デジタル時代のストーリーづくりとカスタマーセントリックの組織づくりとは「カスタマーセントリック思考」出版記念インタビュー(執行役員 村澤典知)

村澤さんのご経歴と現在のお仕事について教えてください

大学卒業後、トヨタ自動車に入社し、主にサプライヤーの経営改善業務に携わっていました。その後、博報堂コンサルティング(現:博報堂ブランドコンサルティング)とA.T.カーニーを経て、インテグレートに入社しました。

トヨタ自動車退社後は、基本的にずっと経営とマーケティングのコンサルティングを生業としています。消費財・小売・ヘルスケアなど様々な業界のブランド戦略や、新規事業開発、マーケティング戦略全般をサポートしてきました。
いわゆる経営コンサルティングファームでは、戦略立案で仕事が終わってしまい、実行までタッチできないのが実情です。戦略策定⇒実行支援⇒戦略の見直しという一連の流れの中でクライントと伴走していけるパートナーになりたい、という思いがあり、そのタイミングでインテグレートがそれを目指した新組織を立ち上げるということで、入社を決めました。

現在は、経営層、事業責任者のパートナーとしてマーケティング戦略や事業戦略策定を主に担当しています。、実際のプロモーションに入ってからも、プロジェクトマネージャーとして業務に引き続き関わることができる案件が増えてきているのが嬉しいです。


本書において村澤さんは、デジタル化や組織論の部分について主に担当されています。マーケティングにおけるデジタルの重要性が叫ばれて久しいですが、現状をどう捉えていらっしゃいますか

デジタル化は会社の業績を大きく左右する"必須"項目となっている

たしかに重要性について語られはじめてから、ずいぶん経ちますね。
ただ、今日においてマーケティングにおけるデジタルの役割は"重要"というだけではなく、"必須"ともいわれるほどになり、フェーズが変わったと感じています。

一つは、質が変わりました。数年前までは、マーケティングにおけるデジタルについて語られていることは、「リターゲティング」や「DSP」などの狭義の広告手法が中心でした。しかし今は、「デジタルで得られる行動データを基に顧客をもっと理解しましょう」、「顧客になった後にさらにエンゲージメントを深めるためのCRMとして使いましょう」といった話や、さらには「商品自体はロープライスで提供し、その後継続的に顧客と繋がることによりサービスで儲ける」というマネタイズやビジネス自体をデジタル中心に変革する企業も出てきました。つまり、今はマーケティング全体、場合によっては経営にまで関わる領域へ広がってきたのです。

また、数年前よりスマートフォンの普及率が急激に高まったことにより、集まるデータ量が増えたことも、重要性が増した理由の一つです。データを貯蔵して分析するためのツールも、クラウドサービスなど安価でコストパフォーマンスが良いものが出てきたりと、環境が急速に整ってきていますよね。
これらの要因が絡み合い、相対的に重要性が高まっていき、その会社の業績を大きく左右する必須項目になってきたのだと思います。

本書のタイトルにもなっている「カスタマーセントリック」とはどういう意味でしょうか?また、それが必要になってきた背景とは?

顧客が出発点・起点となり、自分たちが提供する商品やサービスを規定し、それを継続的に提供するための仕組みや組織、業務プロセスを考えていくことだと思います。

昔から日本では「お客様は神様です」「お客様が第一」「カスタマーファースト」などを理念として掲げる企業は沢山ありました。しかし、顧客を起点として組織の意思決定ができる仕組みづくりにつながっていたのかというと、そうではありません。
なぜ出来なかったかというと、顧客の意思を判断するための情報が手に入らなかったことが大きな要因として挙げられます。先ほどもお話したように、デジタル化によって今はデータが手に取りやすくなったので、顧客を意思決定の中心に置いて考えることが実現可能な土壌が形成されてきました。

カスタマーセントリックな企業は「売れ続ける仕組み」を持っている

古くからカスタマーセントリックな企業の代表として挙げられるのが、星野リゾートなどで知られる「星のや」です。同社は、顧客満足度アンケートの結果や、他の旅館や過去との比較データを、経営者や各ホテルのオーナーだけでなく、現場のスタッフまで情報開示して見られるようにしています。ビッグデータの重要性が叫ばれる以前から、お客様が何に満足して何に不満を持ったのか、当事者であるスタッフ達が改善の方向性を探り、必然的にお客様のために何をしようか考えるきっかけづくりをしていました。

また、同社スタッフは特定のポジションを専門職として担当するのではなく、役割を一定期間でローテーションすることになっています。それにより、自分の現在の担当以外の部分に関しても自分に関係ないと言いにくい土壌をつくり、サービスの向上を図っているのです。部門ごとに完全に縦割りになっていると、自分たちで解決できることしか取り組まなくなります。しかし、スタッフ側の役割の問題はお客様には関係がない。お客様が求めていることを実現するために、横串を通してどう取り組んでいくのか考えることが、カスタマーセントリックな組織運営には必要です。「星のや」の人事ローテーションの仕組みは、それを体現しているといえます。

カスタマーセントリックなマーケティング戦略実行のためには、やはり組織づくりや全体の仕組みづくりが重要なのですね。具体的にそれを実現するためのポイントはありますか?

組織間を連携させるために経営層がしっかりコミットすることが求められる

まず、経営層がしっかりとコミットすること。顧客のニーズを汲み取った戦略を立てたとしても、意思決定する段階で収益性や稼働率などの企業側の理念で実現に至らないことがあります。もちろん顧客視点も考慮した上での総合評価なら問題ありませんが、そうでないことも多い。経営トップ層がその重要性を感じて顧客を中心に判断を下す方針を打ち出していかないと、ボトムアップで変えていくことは容易ではないと思います。

しかし、トップがやると言ったらいきなり変革ができるかというと、それも難しい。特に大企業が、「星のや」のようにスタッフを多能工化し、個々人が何でもやるという体質になって動くことは物理的に無理でしょう。その場合、組織間で協力・協同しなくてはなりません。組織間での連携を上手く仕組化するためには、中心となって推し進めるキーパーソンの存在が必要不可欠です。

何かの専門性は持ちつつ経験豊富なインフルエンサーが必要不可欠

キーパーソンになり得る人には二つの条件があります。一つ目は、スキルがその部門において上位である人。そういった人は多くの場合、自分の業務だけでなく社内の色々なところで貢献をしており、協力関係を得やすい傾向にあります。

そして二つ目が、横串をしっかり通せるバイリンガル人材。ある程度上のポジションについていて、かつ、連携する必要のある部門をどちらも経験している人です。人脈が広いという意味でも、背景を知っているという意味でも、複数の部門を経験していることは必要条件です。

特にデジタルの部門や業務に関しては、既存の大手企業のジョブローテーションに組み込まれていない場合も多く、外部からスペシャリストを採用してリーダーに置いてしまったことで、うまく連携が取れてない企業もあります。デジタルも含めたマーケティングのプロフェッショナルをどうつくっていくのか。人事育成のためのローテーションの仕組みも、再考していくべきだと考えています。

薄く広く経験をするゼネラリストがよい、ということではなく、何か一つ特化した専門性を持ちながらも、他の分野の経験もあり、他部門を巻き込んでいける社内インフルエンサー、そんな人財をいかに適切に配置できるかが、カスタマーセントリックな組織づくり実現のためのキーになると思います。

最後に、執筆に当たっての思いと、これから読んでくださる方へのメッセージをお願いします

目の前の業務を推進していくうえで何らかのヒントになるかもしれないと思っていただきたい

「マーケティングの組織づくり」というと、経営者ではない方々からすると縁通そうに聞こえるかもしれません。しかし、実はそれがカスタマーセントリックなマーケティングの実現において、一番のボトルネックやアキレス腱になっていることが多いんです。

組織のことは自分には関係ないと思わず、目の前の業務を推進していくうえで何らかのヒントになるかもしれない、そう思ってぜひ「カスタマーセントリック思考」の後半パートまで読んでいただけると嬉しいです。


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