Event Report イベントレポート

イベントレポート 2012.01.25

ad:tech Tokyo 2011 レポート

今年で、第3回目となるad:tech Tokyoですが、去年同様、ザ・プリンスパークタワー東京にて行われました。参加人数も、11856人と去年を上回る結果となり、会場内は熱気と興奮で溢れ、広告やマーケティングに携わる方にとっては、益々欠かせないイベントになりつつあるように感じました。

田中 秀幸

株式会社インテグレート
メディアソリューション部

田中 秀幸

ad:tech Tokyo 2011 レポート
2012.01.25

今年で、第3回目となるad:tech Tokyoですが、去年同様、ザ・プリンスパークタワー東京にて行われました。

参加人数も、11856人と去年を上回る結果となり、会場内は熱気と興奮で溢れ、広告やマーケティングに携わる方にとっては、益々欠かせないイベントになりつつあるように感じました。

今回は、その中で、各セッションを通じて、感じたこと、気づきとなったことを中心にお伝えできればと思います。

<今回の特徴>

ad:techという名前の通り、新しいテクノロジーとマーケティングや広告における融合をテーマにしたカンファレンスではあるのですが、キーノート、そして参加させていただいたセッションの中でよくでていたキーワードとしては、消費者との「絆づくり」、「エンゲージメント」、「おもてなし」、「ヒューマナイズ」など、人と人との関係構築、人間らしさ、を重視していくという内容の講演が多かった、というのが全体を通じた感想です。

去年からもテーマになっていた、ソーシャルメディアの活用はもちろん、新しいデジタルツール、ビッグデータの活用、Fコマースをはじめ、DSP、SSPなど、今後益々盛り上がりをみせていくだろうアドエクスチェンジ市場の話まで、「デジタル」はますます事業主のマーケティング活動に欠かせない要素になっていく、ということが語られていました。

しかし一方で「デジタル」をどう活用し、一生活者と真摯で誠実なコミュニケーションをとりながら良好な関係を築けるかが本質的な意味で重要、という内容が、私の参加したセッションの共通事項だったようにも感じます。

それを特に感じた具体的なセッションいくつかをご紹介します。

オープニングキーノートセッションを飾ったadidas USのクリス・マーフィー氏は、ソーシャルメディアでの取り組みにおいて、重要視しているポイントとして、「リラックス」「透明性」「意外性」の3つを掲げておりました。

身構えていたり、隠しごとをしたり、マニュアル対応で接することはやめ、常にオープンな姿勢で、お客様が期待する以上の驚き、喜びを提供すること、そこに「パッション」、即ち情熱をもって全社で取り組んでいるとのこと。

そのスタンスによって、キャンペーン単位での盛り上がり(山頂)の間に、顧客との関係性を低下させることなく(谷をつくらず)、高い位置で関係性を継続させていくこと(高原にすること)が可能になると語っておられました。

(写真1)
写真1

企業のマーケティングというよりも、人と人とのコミュニケーションにも通じる、示唆に富んだ内容にも感じます。

また、バスキュール/朴氏、チームラボ/猪子氏、カヤック/柳沢氏のデジタルマーケティングを代表する企業の面々と、デジタルを積極的に活用されているトヨタマーケティング/喜馬氏をパネリストに迎えた、「デジタル・マーケティングが可能にするブランド・エンゲージメントとは」は、立ち見で会場を埋め尽くすほどの人気のセッションでした。

「ヒューマナイズ」、いかに人間らしさ、そこから感じられる温かさを「デジタル」に反映させ、体験する人へその要素を伝えることができるかが、ブランド構築における大事なポイントだとまとめられていました。

(写真2)
写真2

(写真3)
写真3

ビッグデータ:ボリュームが膨大であると共に、構造が複雑化することで、従来の技術では管理や処理が困難なデータ群を指す概念のこと。

Fコマース:Facebookを活用した電子商取引のこと。

DSP:Demand-Side Platformの略。オンライン広告において、広告主(購入者)側の広告効果の最大化を支援するツールのこと。

SSP:Supply-Side Platformの略。オンライン広告において、媒体社(メディア)の広告枠の販売や広告収益の最大化などを支援するツールのこと。

アドエクスチェンジ:オンライン広告のうち、特定の広告枠におけるインプレッションを入札方式によって売買する方式のこと。

<総括>

世の中が情報であふれ、誰が「送り手」で誰が「受け手」でという概念が薄れてきた中で、改めて、企業もメディアも、より対等で平等な「人」と「人」とのコミュニケーションを目指そうとする姿勢が、今回のad:techでは、強く感じられたものになりました。

ただ、その一方で、顧客と企業の接点が増えていくにつれ、すべてのタッチポイントで統一されたその「人間らしさ」を伝えていく、実践していくことの難しさも実感しました。

人における「人間らしさ」というのものが、その人の考え方(事業戦略)や言動(広報、広告、販促)、評判や噂(PR、ソーシャルメディア施策)によって確立されていくように、企業もそれは同様です。しかし、企業ではそのひとつひとつの構成要素が分断され、別々の人間にて運営していることが実情です。そのような環境下で、社員一人一人に企業の信念が共有され、実際の顧客対応にまでそれが反映されるべく、いかに統一された教育システム、体制作りを進めていくかが、次の課題にも感じました。

それと同時に、弊社のような企業のマーケティングパートナーとして活動する会社も、PRや広告、販促といった枠組みでのソリューション提供だけにとどまらない統合マーケティングコミュニケーションの中で、社会において好感を持たれ、信頼に値する「人間らしさ」をいかにプロデュースできるかが課題になると感じました。