Event Report イベントレポート

イベントレポート 2012.11.06

ad:tech tokyo 2012 レポート 前編

ad:tech tokyo 2012の期間中、キーノートプレゼンテーションやカンファレンスをハシゴし続けてまいりましたので、今回のスタッフコラムではその内容に関して、自分なりの視点でレポートさせていただきます。国内外のトップマーケターやクリエーター達の情熱や息遣いを、少しでもお伝えできれば幸いです。

杉本 健

株式会社インテグレート
第2統合ソリューション部 プランナー

杉本 健

ad:tech tokyo 2012 レポート 前編
2012.11.06

今年で4回目となるad:tech tokyo(アドテック東京)。今年は会場を移し、東京国際フォーラムで開催されました。1800社以上のリーディングカンパニーが参加し、総来場者数も21,434名 (1日目:10,236名/2日目:11,198名)と、前年の約2倍の規模になるなど、まさにマーケティング業界の展望を見通すためには欠かすことのできない一大イベントに発展しています。

ad:techとは?
全世界8都市で10年以上にわたり開催されている世界最大級のデジタルマーケティングカンファレンスで、マーケティングに携わるビジネスリーダーに向けて「デジタル時代におけるマーケティングのベストプラクティス」を提供しています。 国内外のトップマーケター、イノベーター、クリエーターが、マーケティング&コミュニケーションの新時代に必要なツールやテクニックについてディスカッションを繰り広げながら、マーケティング革命から経営維新まで新たなビジネスモデルを創出する国際会議となっています。

ad:tech tokyo 2012の期間中、キーノートプレゼンテーションやカンファレンスをハシゴし続けてまいりましたので、今回のスタッフコラムではその内容に関して、自分なりの視点でレポートさせていただきます。国内外のトップマーケターやクリエーター達の情熱や息遣いを、少しでもお伝えできれば幸いです。

<これからのビジネストレンド>

今回のad:tech tokyo 2012に参加して感じたのは、これからのビジネスには3つのSが重要となる、ということです。その3つのSとは、「Smartphone」「Speed」「Sustain」。どれも既にみなさんご存知の単語で目新しい感じがしないかもしれませんが、改めてこれらの単語を挙げさせていただいた理由を下記に述べてまいります。

1:Smartphone
初日のオープニングキーノートプレゼンテーションで登壇した、Facebookのグローバル・クリエイティブ・ソリューション・ディレクターD’arcy氏は「Facebookはモバイルから考える」と発言し、最終日のクロージングキーノートプレゼンテーションでトリを飾ったヤフージャパンの宮坂社長は「スマホを制するものがインターネットを制する」とまで言い切り、「スマホファースト」を宣言しました。クリエイティブ業界で常に話題を集め続ける存在となっているバスキュールの朴代表も、データを引用しながら「スマホがPCを凌駕するデバイスとなる」ことを指摘しています。

「スマホの普及でTVは消滅する」とまで言及した業界の風雲児・チームラボ猪子代表の予想が当たるかどうかは分かりませんが、少なくともスマホがデバイスの主役に躍り出たことは間違いありません。これからの時代はスマホを無視できないどころか、スマホを前提とした展開を検討せざるを得なくなっていくでしょう。

(写真1)
ad:tech tokyo 2012 杉本コラム 前編写真1

2:Speed
ビジネスにおいてスピードが重要であることは以前からも指摘されてきたことですが、これまではどちらかというと「スピードを上げて成功をつかもう!」といった、ある意味で標語的なメッセージに留まっていた感がありました。ところが昨今では経営者が「スピードを上げないと命取りになってしまう」と実際に肌身で感じているようで、そのクリティカルな危機感・緊迫感がこちらにまで伝わってくるほどです。

スピードが重要となる大きな要因の1つがデジタル化の進展です。これまではブラックボックスの中にあり、どのような内容・構造になっているかが解析できなかった生活者の行動パターンや広告の効果などが、デジタル化によって次々と可視化されるようになってきたため、それをいち早く施策を取り入れていくというPDCAの高速回転が求められています。

またスマホの普及などにより、インターネットへの常時接続が一般的になってきたことも、スピード化に拍車をかけるようになりました。これまでは年次や月次で行っていたようなデータ分析が、Weekly→Daily→Hourlyと、どんどん短いスパンで要求されるようになり、なるべくリアルタイムでレスポンスできるような体制・走りながら考えるような姿勢が求められています。

今年の4月に新体制がスタートしたヤフージャパンの宮坂社長も、「爆速」を経営のキーワードに掲げ、「脱皮しない蛇は死ぬ」というニーチェの格言まで引用しながら、承認ラインのシンプル化による現場への権限委譲、集中と選択による資源の効率的な投下、これまでの自前主義と決別した外部との連携推進など、スピードを極限まで高めるために形振り構わない姿勢を明確にしています。

(写真2)
ad:tech tokyo 2012 杉本コラム 前編写真2

3:Sustain
10年ほど前から提唱されているLOHASに始まり、震災後は特に原発問題もあって「Sustainability」(持続可能な社会)というワードが再び注目を集めていますが、ここでは「(取組を)継続する」という意味で挙げています。

先述の通り、スピード化がこれまで以上に進んでいるため、逆に将来の展望が見通しづらくなってきています。また、可視化されるようになってきたとはいえ、データだけを見続けていると近視眼的な狭い視野に陥ってしまう危険もあります。 戦術レベルではトライ&エラーを繰り返し、うまく成果が得られなかった施策については改善策を打っていく必要がありますが、しっかりと長期的な目標を掲げ、そこに向かって継続的にトライし続けるという姿勢を貫かないと、ビッグデータという膨大な情報の大海原の中で漂流してしまうことでしょう。

日本有数のネットエージェンシーであるセプテーニの佐藤社長は、成果よりもチャレンジを重視する評価制度を導入・徹底することで、目標に向けて継続的にトライし続ける企業風土の醸成に成功しているそうです。

また、サントリー広報部デジタルコミュニケーション開発部長の坂井氏が「ソーシャルは年金を積み立てるような感覚で捉えている」と発言したように、「バルス祭(※1)」など瞬間風速的なバズ効果ばかりが注目されがちなソーシャルメディアについても、花火を単発で打ち上げるのでは無く、取組を継続的に展開していくことでコミュニケーションを下支えする効果を生み出すことができる、と言われるようになっています。

今回のスタッフコラムでは、ad:tech tokyo 2012に参加して感じた、これからのビジネスに重要となる3つのSについてまとめさせていただきました。後日リリース予定の続編では、同じくad:tech tokyo 2012に参加して感じた、これからのマーケティングにマストとなるキーワードをいくつかピックアップしたいと思いますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

※1バルス祭
スタジオ・ジブリのアニメ『天空の城ラピュタ』がテレビ放映される際、クライマックス(滅びの呪文「バルス」が唱えられ、ラピュタが崩落していくシーン)の瞬間に、「バルス!」と一斉に書き込む事象のこと。 2011年12月に日本テレビの金曜ロードショーで放映された際にはTwitterで1秒あたり25,088ツイートが発生し、同年8月ビヨンセ妊娠発覚時の8,868ツイートを抜いて新記録となった。