Event Report イベントレポート

イベントレポート 2012.11.06

ad:tech tokyo 2012 レポート

去る10月30日、31日に東京国際フォーラムにて「ad:tech tokyo 2012」が開催されました。参加者が初めて20,000人を超える程の注目が集まったこのイベントに参加し、変わりゆく生活者を中心とした新しい企業の在り方を考えさせられると共に、私たちインテグレートのように企業へソリューションを提供していくサプライヤーの立場として、どんな変化と進化が必要なのか、得られた示唆についてまとめていきたいと思います。

定方 秀樹

株式会社インテグレート
第1統合ソリューション部 プランナー

定方 秀樹

ad:tech tokyo 2012 レポート
2012.11.06

去る10月30日、31日に東京国際フォーラムにて「ad:tech tokyo 2012」が開催されました。参加者が初めて20,000人を超える程の注目が集まったこのイベントに参加し、変わりゆく生活者を中心とした新しい企業の在り方を考えさせられると共に、私たちインテグレートのように企業へソリューションを提供していくサプライヤーの立場として、どんな変化と進化が必要なのか、得られた示唆についてまとめていきたいと思います。

「Facebook is old」「Facebook=making business personal」とは?

オープニングキーノートプレゼンテーションに登場した米国Facebookのマーク•ダーシー氏は、様々なコトバでFacebookを表現しました。その中で特に印象的だったのが「old」。世界中に浸透しているFacebook、先端テクノロジーが支えるFacebook、決して古いものではありません。真意は昔から人が根源的に持っている欲求(人と繋がること、会話すること、楽しみを共有することなど)を叶えているにすぎないということです。

裏を返せば、今の時代、実名に代表される真実性や上下•力関係とは乖離した自由度を尊重しなければ、古くから人が持ち合わせている欲求に応えられないのかもしれません。だからこそ「making business personal」というコトバで、企業はFacebookを通じてもっと社会を構成する1人のヒトのように、透明度が高く、人間味が感じられる存在になっていく、とも考察していました。生活者と企業がヒト対ヒトの関係を築こうとするとき、そこには誠実な態度が不可欠でしょうし、機械的な型にはまった言動よりも臨機応変さや柔軟性が求められます。各カンファレンスでも「PDCAの高速回転」というキーワードが頻出していました。私たちサプライヤーサイドもプロジェクトのアウトプットだけでなく、プロセスにおける機動力や敏捷性を今まで以上に発揮することが必要と強く感じています。

(写真1)
ad:tech tokyo 2012 定方コラム 写真1

「BIG DATA」で変わること、変わらないこと

昨年も登場した「BIG DATA」というキーワード。今年は概念やメカニズムなどのテクノロジーとしての「BIG DATA」から、どのように価値創造に繋げていくかを重視したマーケティングとしての「BIG DATA」へと前進していました。どのようにマーケティングに組み込むか、大きくは2つの視点に分かれていたように感じます。

まず1つは、「効果の見える化によるROIの改善」です。例えば、アトリビューション・マネジメントによって、今まで貢献の度合いが明確でなかった施策の効果が具体的に見えるようになりました。従来の効果検証の幅が拡がっただけのように感じるかもしれませんが、見える化できるデータが増えることは、分析できるデータが増えたとも言えます。そして、思いもよらない相関関係や因果関係の発見からマーケティング施策が変化する可能性を秘めています。

株式会社リクルートでSUUMOネット事業に携わる吉永氏が紹介した、SUUMOネットのマーケティング施策シミュレーションソフトは、過去の膨大なデータとそれぞれの施策の貢献度から抽出された計算式に基づいて、目標に応じた最適な予算配分の抽出が可能であり、かつ、たった数秒で実現してしまうそうです。予算配分に費やしてきた時間や労力を、「BIG DATA」によって生活者と向き合う時間にシフトさせる、そんな有用性も生まれてきています。

もう1つは、「BIG STORYの材料としてのBIG DATA」です。テクノロジーの進歩により、もはや物理的には生活者のあらゆる行動データを収集することが可能になってきています。十人十色のデータをどう分析すべきかについての明快な答えはありませんが、データと向き合い新しいクラスター(群れ)や代表値を見つけ出すことや、ひとりひとりを深く理解し尽くしてインサイトを掴むことなど、アナリスト的アプローチとクリエイティブ的アプローチの両方から模索している状態だといえます。

ただ、そこに共通しているのは「BIG DATA」を生かすも殺すも、「人知」であるということではないでしょうか。分析というよりは解釈というコトバのほうが適しているかもしれません。この点については、目の前に起きた事象や世の中を解釈し、ヒトにとって価値あるものに変えていくマーケティングの本質と変わらないことではないかと感じています。

ここでサプライヤーサイドにとって課題と感じるのは、「BIG DATA」を保有していく企業に対してどのような価値を提供できるのか、ということです。「BIG DATA」収集の仕組み提供、データ分析、マーケティング施策(BIG STORY)の開発など色々な段階がありますが、自社が、そして自分がどこで価値を提供できるのか、どこを強化しなければいけないのか、変化の早い中で大胆かつ慎重に見つめ直していくことが欠かせないと実感させられました。

(写真2)
ad:tech tokyo 2012 定方コラム 写真2

「危機」を「機会」に変えるために

ad:techを主催するdmg:eventsのスーザン•マクダーミッド氏はオープニングの挨拶で、「危機」にある現状を「危機」と捉えるか「機会」と捉えるか、について提起しました。

もちろん「機会」にしなければならないのですが、サプライヤーサイドとして今まで述べてきた必要と感じていることに加え、まだまだ変わらなければいけないことがあるでしょう。具体的には今までの枠組みや手法に固執しないことや機動力を発揮できる組織、人材のスキルアップなど数えれば切りがないと思います。

ただ、それ以前にヤフー株式会社CEO宮坂氏がクロージングキーノートでおっしゃっていたように、変革を楽しむマインドセットと具体的なアクションがなければ何も始まらないと感じました。少なくともヤフー株式会社が「BAKUSOKU(爆速)」を掲げて変革の道を走り出したように、各カンファレンスに登壇された方々もカンファレンスではスピーカーでしたが、ビジネスの現場では既に具体的なアクションを始めている方々です。

生活者と企業が同じ社会の一員として今まで以上に密接に関わっていく潮流の中で、サプライヤーが不要になるかどうかは私たちサプライヤー自身の立ち振る舞い次第に他なりません。かといって不安になっても仕方がありません。

博報堂の野添氏のコトバを引用させて頂くと、テクノロジーの進化で想像できることは実現できる時代です。私たち自身も、サプライヤーサイドと位置づける必要も無いのかもしれません。そんな時代に生きることを喜びと感じ、ひとりひとりが社会に価値あるモノ•コトを創っていく、そのための想像力やカタチにする構想力を身につけアクションを起こすことこそが、「危機」を「機会」に変えることに繋がっていくと私は思います。