Event Report イベントレポート

イベントレポート 2013.10.18

ad:tech tokyo 2013 レポート

去る9月18日と19日、昨年に続き東京国際フォーラムを会場として行われた「ad:tech tokyo 2013」に参加いたしました。私は前年に続き2回目の参加でしたが、来場者数も前年比115%と、世界最大級のマーケティングカンファレンスとしての重要性が年々高まっていくのを感じさせる盛り上がりでした。

高柳 克洋

株式会社インテグレート
事業開発グループ マネージャー

高柳 克洋

ad:tech tokyo 2013 レポート
2013.10.18

去る9月18日と19日、昨年に続き東京国際フォーラムを会場として行われた「ad:tech tokyo 2013」に参加いたしました。私は前年に続き2回目の参加でしたが、来場者数も前年比115%と、世界最大級のマーケティングカンファレンスとしての重要性が年々高まっていくのを感じさせる盛り上がりでした。

今回は、自分自身の学びや、クライアントの課題解決に携わるインテグレートのこれからの役割、全体を通じての印象などをレポートしたいと思います。

マーケッターのスキルとして重要度の高まる「分析力」

今回のad:techでは、キーノート、公式セッション、自社で主催したプレミアムセミナーなど10程度のセッションを見て回りましたが、個々のセッションでしばしば耳にした言葉の一つが「分析」でした。

初日のKEY NOTEに登場し、TVとTwitterとの関連性を語ったTwitter社のデブ・ロイ氏の肩書は、「チーフ・メディアサイエンティスト」でしたし、次世代のCMO、つまり「CMO2.0」のあるべき姿を語ったベッキー・セイガー氏は、『「CMO 2.0」は、科学的なアプローチを元に、「アートとサイエンスを組み合わせ、ビッグデータを効率的に戦略的につなげていける人物である」』と語りました。また、Facebookの代表取締役の岩下充志氏も、Facebookのインサイト分析などを手がけるブラッドブラッド・スモールウッド氏を壇上に迎えた上で、「measurement(効果測定)」の重要性について熱く語りました。

「その年のad:techの顔」ともいえるKEY NOTEで、こうした「分析」についての言及が多く見られたことは、これからのマーケティング業界全体のトレンドを現しているとも言えます。もちろん、以前からマーケティングにおいて「分析」は欠かせない要素の一つではありましたが、「何をしたか」という「施策」に目が行きがちだったのではないかと思います。しかし、テクノロジーの進化や、人間の頭脳では解析できない規模のビッグデータの分析によって、「何を見出したか」というファインディングスに重きが置かれるようになり、「分析」のレベルも、PV、UU、CTRといった静的な値だけでなく、より動的、立体的な視点による総合的な分析力が求められるようになりました。

そうした素養はまさに「サイエンティスト」であり、前述のベッキー・セイガー氏が言うところの、「アート(右脳)とサイエンス(左脳)」の両方を兼ね備えたスキルセットが、これからのマーケティング業界において、より求められる要素になると感じました。

「テクノロジー」は悩めるマーケッターを救うのか

前述の「分析」に加えて、もう一つ耳に残っている言葉があります。それは、「よくわからない」「悩んでいる」「社内の理解が得られない」といった、生々しい「現場の悩み」だったように思います。「ビッグデータ」「アトリビューション」「DMP」など、ここ数年でバズワード的に語られていたテクノロジーは既に運用フェーズに入っており、今年のad:techでは、まさに「運用してみてどうだった?」という現場目線からのディスカッションが多く、「アトリビューション分析でROIが15%上昇しました!」といった話がある一方で、「それでもわからないことも多いよね」といったぶちゃけトークが壇上で繰り広げられました。

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高度に発達したテクノロジーは、人間の頭脳では解析できない部分まで「見える化」します。しかし、現時点ではデータの100%が明らかになるわけではありません。「見える」部分が明らかになればなるほど、「見えない部分」が気になってしまう人間の性でしょうか。「見えない部分」に対する不安や、テクノロジーに振り回されてしまう混乱などがディスカッションの端々から見て取れました。

それは、初日の「アトリビューション分析がもたらす効果と売り上げ」のセッションでも、「要因X問題」として象徴的に語られていました。それは、アトリビューション分析などのテクノロジーをしても、膨大なデータの全てを解析できるわけではなく、特定できない要因の比率があまりにも大きく、「テクノロジーによる高度な分析」といっても、実はごく一部の話なのではないか?という問題提起です。

また、第2日目の「コミュニケーション混沌時代」では、企業で運営する「ソーシャルアカウント」が、オウンドメディアから始まり、mixi、twitter、Youtube、Facebook、LINE…と、増え続けていくことについて、「どうツールを選んだらよいかわからない」という運営側の正直な悩みも語られていました。

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これまでマーケッターの経験値や前例、勘といった属人的なスキルに頼ってきた部分を、ある程度は「データ」という客観的な数値によって代替できるようになったり、自動化されるようになりました。これはつまり、テクノロジーによって悩みの全てが解決するのではなく、「悩まなくていい部分がある程度自動化された」ということであって、マーケッターが「本来悩むべき部分」により注力できるようになった、と考えるほうが良いのかもしれません。

「CMOの不在」と「日本のビジネス構造」の関係

もう一つ興味深かったテーマは、「CMO」についてです。前述ベッキー・セイガーの話にもありましたが、欧米では、中小企業の中にもCMOを置く企業が年々増えているそうです。それに比べて、日本の企業におけるCMOの絶対数、組織内で与えられている権限の範囲などをみると、まだまだ存在感が薄い状況と言わざるを得ません。

この日本における「CMOの不在」の原因は何でしょうか?それは、日本企業特有の「縦割り組織」や、ブランドや商品ごとに代理店が着く習慣など、「ビジネス構造」の問題ではないかと考えます。組織を横断したマーケティング施策や、メディアを横断した総合的な分析などがやりにくい状態となっており、既に出来上がったこうした「構造」を覆すことは容易ではありません。よって、日本の企業において「CMO」が欧米並にダイナミックに腕を振るうというシーンが見られるのは、もう少し先になるように思います。

「分析」の重要性が増していく一方で、「CMOの不在」という問題を抱える日本のマーケティング業界。「統合型マーケティング」を掲げる弊社がこれから果たすべき役割とは、「右脳」のみならず、「左脳(分析)」も含めた両軸でのサポートを提供していくことと、課題に対してフラットな視点を持ち続けることではないかと思います。

今年のad:techでも、インテグレートではこれまで実施した様々な事例を元に、計7つのセミナーを開催させていただき、毎回多くの方にご来場いただきました。セミナーの内容も、「アトリビューション分析」「ソーシャルリスニング」「DMP」「ビッグデータ解析」など、昨今の「デジタル化」の流れに対して柔軟に対応する弊社のスタンスがよく現れていたのではないでしょうか。

流れの早いマーケティング業界において、社内の体制作りや教育システム、意識の持ち方などを柔軟に変化させていくことで、時代のニーズに合ったソリューションを提供していくことが、弊社の変わらないミッションであると思います。