Event Report イベントレポート

イベントレポート 2013.11.05

アドテック2013 レポートまとめ

今年で5回目の開催となった「アドテック東京」。私自身は今年で3回目の参加ですが、毎年、マーケティングとテクノロジーの融合がものすごいスピードで進化していく状況を体感できるのがアドテックの魅力です。

田中 秀幸

株式会社インテグレート
デジタルクリエイティブグループ

田中 秀幸

アドテック2013 レポートまとめ
2013.11.05

今年で5回目の開催となった「アドテック東京」。私自身は今年で3回目の参加ですが、毎年、マーケティングとテクノロジーの融合がものすごいスピードで進化していく状況を体感できるのがアドテックの魅力です。

私は現在、デジタルクリエイティブグループという部署に所属し、クライアントの様々なマーケティング課題解決のために、主にデジタル領域を中心としたクリエイティブ業務に従事しています。

必然的に、DSP/SSP、3PAS、アドエクスチェンジなどを中心とした「アドテク」領域よりも、クリエイティブ領域、つまりいかにして生活者に感動や共感を生み出すコンテンツや情報を生み出していくことができるのか、最新のテクノロジーがどのように融合できるのか、そしていかに新しい価値を生み出すことができるのか、という視点を持ちこのアドテックに参加させていただきました。

今回参加したセッションについて、私なりの所感を簡単に述べさせていただきます。

「デジタルか否か」ではなく「インタラクティブか否か」

9つにカテゴリ分けされた公式セッションの中でも一番興味深かったのが2日目の「Creative」カテゴリでした。最初に行われたのが、「デジタルクリエイティブとは今までのクリエイティブと何が違う?」をテーマにしたセッション。カンヌで審査員も務めた佐藤達郎氏に、PARTYの中村洋基氏、AID-DCCの富永勇亮氏、TBWA/HAKUHODOの細田高広氏という、デジタルだけでなく、クリエイティブ領域の最先端で活躍されている方々の熱い議論が展開されていきました。

まず、中村氏より「インタラクティブであること」「仕組みづくりがあること」がデジタルクリエイティブの特性であるということが述べられました。
クリエイティブの本質を「気持ちのいい経験」とした上で、「そこにインタラクティブ、つまり自分のアクションがリアルタイムに可視化されたり、反応として返ってくることで、さらなる喜びや気持よさを生み出す」と説明がありました。

一方で、決してこれまでのクリエイティブがデジタルクリエイティブに劣っているという訳ではないと細田氏。

どちらも、ストーリーは共通でその主役が違うだけ。その関係性をディズニーランドになぞらえ、これまでのクリエイティブは映画的な楽しみ方とし、デジタルはディズニーランドのように自分が主役となり、その世界観に入り込んで体験することができる。つまり表現方法が異なるだけで、優劣関係ではないと発言されました。

それらを受け、富永氏はTVも雑誌もデジタル化が進んでいる中で、デジタルかどうかという議論ではなく、インタラクティブ性を持ち合わせているかどうかが重要と指摘されました。

セミナー写真

3人のスピーカーに共通していたのは「デジタルVS旧来メディア」という議論そのものがナンセンスというもの。確かに現在のメディア環境において、両社の境界はどんどん曖昧なものになりつつあります。また生活者視点でいえば、それらを分けて考えること自体が意味をなさないともいえます。

企業として発信していきたい「メッセージ」、それをいかに生活者が知りたい、聞きたい、体験したい「コンテンツ」に変換できるか、そこにこそクリエイティビティが発揮される場面があり、そこではデジタルか否かという視点ではなく、どんなコンテンツだと理解・納得ににつながるのか、という視点で考えていくことが重要と改めて感じました。

クリエイティブ×インタラクティブの今後の可能性

クリエイティブの本質を「気持ちのいい経験」とし、そこにインタラクティブな要素が融合することで、さらなる気持よさ・価値が生まれていくとした場合、それを実現させるための考え方・アプローチ方法について、いくつかのセッションを通じて感じたポイントを整理してみます。

①「既存メディア×インタラクティブ」
 -これまでもTVとネットを融合させたような取り組みはいくつかありましたが、この動きは今後益々活発化していくのではないかと感じました。バスキュールの朴氏はそのセッションの中で、新しい取り組みの事例として、今年6月に実施した視聴者参加型のエンターテイメント番組「BLOODY TUBE」(ブラッディーチューブ)の紹介をしました。この番組では、視聴者がスマホをコントローラーにし、レース型のゲームで、視聴者同士で競い合うことができるという新しいTV番組の楽しみ方を提供しました。 また、PARTYの中村氏も日本独自のメディア環境におけるTVの影響力について言及しつつ、そんな環境だからこそ実現できるTV番組と同時参加性をかけあわせた企画制作へ意欲を表していました。

今後もTVを始めとした4マスメディア、そしてサイネージ化の進むOOHなどの領域で、新たな価値創出に向けた試行錯誤は続いていくのかもしれません。

セミナー写真

②「リアルタッチポイント×インタラクティブ」
フレイスリーの石田貢氏は、店頭におけるスマホやタブレットを駆使したインタラクティブ体験の事例として「SK−Ⅱ」の事例を紹介し、iPadやQRコードを活用したスタンプラリーのような仕組みや、ソーシャルへ投稿したくなるような動画撮影ブースを店頭に設置するなどし、単なる商品の売り場として店頭ではなく、楽しさや面白さを体験できる場として新しい価値を生み出しました。 このような店頭にかぎらずとも、スマホの普及によって日常の生活シーンの一部がインタラクティブになり、コンテンツ化、メディア化していくケースも今後増えていくだろうと思います。

③インタラクティブなクリエイティブ開発
 -デジタルインテリジェンスの横山氏は、自身がモデレータを務めるセッションにて、オーディエンスデータを活用したマーケティングの可能性について語りました。

DMPの導入によって様々なタッチポイント上でのユーザーの行動や興味が可視化できるようになっていきます。それによって、いままでは目に見えなかったクリエイティブの効果検証や、これまでの調査だけでは分からなかった新たなユーザーインサイトを発見することもでき、よりターゲットにとって気持ちのいいクリエイティブを生み出すことができる環境になっていくと感じました。

セミナー写真

まとめ

これらの考え方やアプローチもあくまでクリエイティブの力を最大限発揮させるためのものだと思います。

つまり1から100についてはデジタル領域が貢献できる部分ですが、いかにして0から1を創りだすか、ここの部分はテクノロジーが進化しようとも答えをだすことは難しい領域だと思います。最終的には我々のアイデアによる部分が大きく占めることになるので、そうなるとデジタル出身以外のプレイヤー、さらには広告やマーケティングという領域以外のプレイヤーとの連携にまで視野を広げて、アイデアを生み出していく努力が必要になっていくでしょう。

また、インタラクティブなコミュニケーション要素をキャンペーンに取り入れるという視点だけではなく、メッセージ開発やさらには商品開発など、マーケティングの上流において組み込むことで、我々生活者にとっても毎日がより楽しく豊かなものになり、それが最終的に企業の利益にもつながっていくのかもしれません。